リモートワークの普及や国からの支援金の充実の影響で地方移住が増えているが、どの地域・県を選べばいいのか。統計データ分析家の本川裕さんは「長寿県かどうかもひとつのポイントです。厚労省の過去の複数回の調査を分析すると、長寿県上位は、男性は東から神奈川、長野、石川、福井、岐阜、滋賀、京都、奈良、岡山、広島、熊本、一方の女性は長野、富山、石川、滋賀、京都、島根、岡山、広島、熊本、大分になっている」という――。

増加する地方移住、長生きできる地域はどこなのか

2022年末、政府は東京23区で居住あるいは就労している人が地方移住する際の支援金について、18歳未満の子供を帯同した場合の加算を現在の子1人当たり最大30万円から同100万円に引き上げると発表した。

テレワークの普及も追い風となって地方移住が増えているが、それがさらに加速する可能性があろう。その場合、気になるのはどこに移住したらよいかである。自然が豊かで、暮らしやすく、いざとなれば東京に出やすい地域、などいろいろな条件が考えられるが、長生きできる地域かどうかも1つの重要な判断材料だろう。

折も折、厚生労働省は5年に一度更新される都道府県別の生命表を公表し、地域別の平均寿命が明らかとなり、新聞やテレビでもその内容が報道された。

そこで今回は、このデータに基づき、どの地域の寿命が長く、どの地域の寿命が短いのかについて紹介しよう。

2020年の都道府県生命表の平均寿命(0歳時の平均余命)について、X軸に男性の値、Y軸に女性の値をとった散布図を作成するとともに、その中に長短3県ずつの寿命データを表にして掲げた(図表1)。

散布図を見ると、各地域の平均寿命は、すべての地域で女性の方が長いが、だいたいにおいて男女は比例しており右上がりの分布を示している。

ただし、厳密に比例しているわけではない。男女の上位3位は、滋賀のみが男はトップ、女は2位と重なっているだけで、その他は別々の県となっている。下位3位については、青森と福島が男女で重なっているが(うち青森は両方とも最下位)、もう1つの地域は異なった県となっている。

なお、分布のばらつきに注目すると、女の方は、ほぼ1.5歳のレンジにおさまっているのに対して、男の方は2.5歳程度の幅をもっており、ばらつきは男の方が女よりずっと大きい。男性の寿命の方が女性より地域性によって左右されやすいということであり、何となく分からないでもない特徴だろう。男性の方が寒さなどの厳しい気候への抵抗力が強くなかったり、喫煙・飲酒など不健康な生活習慣に染まりやすかったりという理由が考えられる。