後次の波ほど感染者数や死亡者数が数的に拡大
過去2年半以上にわたり猛威を振るってきた新型コロナ感染症に関しては、現在、感染拡大の第8波が押し寄せ、その帰趨が注視されている。
新型コロナ感染症の蔓延については発生後3年目に入ってもなかなか終息に至らず、常に新しい動きに生じるのでなかなか関連する統計データをまとめて紹介できなかったが、最近は5年おきの主要統計でも影響が分析できるようになったので、2022年末のこの段階で基本的なデータを整理しておきたい。
まず、最も基本的な指標である新規感染者数と死亡者数の推移をたどってみよう。
図表1には、業務上の理由から行政からの計数の発表が月曜日には少なくなるというような週変動を円滑化するため過去1週間の平均で日ごとの推移を掲げた。
新規感染者数では数的規模が大きく拡大したので同一のスケールでは初期の波のグラフが小さくなってしまい視認しにくいが、感染死亡者の方は、それほど大きな数的規模の変化がないので、第1波から第8波までの流行の起伏が明らかに認められる。
新規感染者数と死亡者数の推移については以下のような点が目立っている。
・数的規模は新規感染者数も死亡者数もおおむね後次の波ほど大きくなってきた(世界的には日本の第6波にあたる波より後は大きく縮小する傾向であるのと対照的)。
・ピーク時の波の高さはだんだんと新規感染者数の方が死亡者数を上回るようになってきている。すなわち死亡率の低下傾向が認められる。
・感染拡大は定期的に繰り返してきたが、インターバルに目立った法則性は見当たらず、寒暖などによる季節変化も認めにくい。
・死亡者数のピークは新規感染者数のピークからやや遅れて訪れる。これは感染患者が死亡する場合、感染直後ではなく一定の期間後だということに基づいている。
・第8波はすでに死者数が第6波を上回っているが、全体としては第7波ほど大きなうねりになりそうもない。