芸能人のYouTubeチャンネル開設が相次いでいる。テレビ業界はこうした動きをどうみているのか。コラムニストの木村隆志さんは「かつてはYouTubeを嫌うテレビマンもいたが、いまでは好ましい動きとするテレビマンが多い。YouTubeとテレビは互いを補完する関係になりつつある」という――。
YouTube画面
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芸能人のYouTube進出でテレビに起きた変化

爆笑問題が公式YouTubeチャンネル「爆笑問題のコント テレビの話」を開設したことが業界内で噂になった。このクラスの大物芸人がYouTubeに進出することは希少な上に、その内容は得意の十八番ではなくコント。しかも所属事務所・タイタンの後輩たちに加えて社長で太田光の妻・太田光代も出演者に名を連ねていた。

まもなく開設から2カ月になるが、チャンネル登録者数は約6.6万人。各動画の再生数は4~5万回程度に留まり、「爆笑問題ほどの売れっ子芸人でも簡単にはいかない」というYouTubeの難しさが浮き彫りになった。

コロナ禍に突入したころから芸能人のYouTube進出が一気に進んだが、当時から約2年半が過ぎた今、配信頻度を減らす人や、撤退を表明する人も現れるなど、彼らを取り巻く状況は大きく変わっている。

今回、編集部から芸能人のYouTube進出に関して、「それが当たり前になるのは、テレビ業界にとって好ましいのか、好ましくないのか」「テレビの企画に変化はあるのか」「芸能人のYouTube進出で番組は面白くなるのか、テレビ離れが進むのか」というお題をもらった。業界の事情や、芸能人とテレビマンたちの本音を踏まえながら、これらのお題を掘り下げていく。

テレビマンたちの本音

まず「芸能人のYouTubeが当たり前になるのは、テレビ業界にとって好ましいのか、好ましくないのか」について。

当初は「好ましくないもの」と感じるテレビマンが少なくなかったが、現在では「むしろ好ましい」とみなす人が増えた。

その理由は、「テレビ番組と芸能人のYouTube動画は、内容が棲み分けされている」「動画のトーク、趣味、特技、キャラクターなどを生かしたテレビ番組の企画を立てられる」「YouTubeのチャンネル登録者を番組に呼び込める」「テレビではできないことをやっているから芸能人にとってのガス抜きになる」など多岐にわたる。

もちろんYouTube動画は、「どのコンテンツを見るか」という選択肢の点でテレビ番組のライバルだが、「芸能人のチャンネルに関しては、それぞれにない魅力を補完し合う関係になり得る」とポジティブにとらえるテレビマンの声をしばしば聞く。

また、芸能人のYouTubeは、「スマホやタブレットなどでネット中心の生活を送る人々をテレビに連れてくる」というテレビマンの課題に対する1つの手段。YouTubeを「アクティブなファンがどれだけいるか」というファン数の可視化をする材料として見ているのだ。