テレワークで生まれた時間の余裕を何に使っているか
若者は睡眠不足を解消、子育て世代は育児時間を増やし、中高年は睡眠と食事の時間に割いた
コロナ対策として職場に行かず、自宅で働くテレワークという生活パターンがずいぶん増えた。2021年の「社会生活基本調査」では20代後半から40代にかけては1割近い人がテレワークをしていることが明らかとなった。
同調査によってテレワークで生活時間がどう変化したかが明らかになったので紹介しよう。図表4では仕事をしている人について、若い層から中高年層まで年齢別に3段階に生活時間のテレワークによる変化を表している。
テレワークした人としなかった人とを比べると年齢によらずテレワークで通勤時間が約1時間短縮したことが分かる。その分、何の時間が伸びているかを見ると、仕事の時間はほとんど変わりがない(若い層では少し減らすことができたが)。食事の時間はだいたいどの年齢でも15分前後伸びている。やはり、仕事に出ていると食事の時間的余裕が切り詰められていたことが分かる。
年齢によって異なる動きのものに着目すると、25~34歳の若年層では睡眠が一番伸びている。それまで睡眠不足だったのではないかと想像される。
ところが35~44歳の子育て世代ではそうはいかない。睡眠は伸びず、むしろ、育児の時間が伸びていることが分かる。子どもと過ごす時間が取れるようになったのはテレワークの大きなメリットである。
その他の時間では、若い層では家事や趣味・娯楽の時間が増え、テレビを見る時間は減っている。45~54歳の中高年では睡眠やテレビの時間が増えている。在宅時間が増えても年代によって増やす時間は結構異なっていることが分かるのである。
さて、一般にはあまり注目されないが、私が注目しているもう1つの生活時間について見てみよう。すなわち「身の回りの用事」の時間である。これについてはこれに含まれるトイレなど本来の生理的時間はそう伸び縮みするはずもないことから、身の回りの用事時間の長短で「おしゃれ時間」の長短が測れるのではないかと考えており、そうした観点から注目している。
テレワークで身の回りの用事時間は若い世代ほど短縮している。通勤などの外出が減り、外出するにせよマスクをしているので全体にお化粧時間が減っているためと考えられる。家にいるので身の回りの用事に含まれる入浴などは増えていると思われるのでそれを上回っておしゃれに要する時間が減っていると考えられる。
ところが中高年では通勤時間は減っているのにあまり身の回り時間は減っていない。在宅時間が増え入浴などが伸びているためか、美容動機が若年層より強いか、どちらかだろう。