長い「若者いじめ」で婚姻数が増えるわけもなく…
若者も現役世代全体も酷い有様で、どちらも可処分所得は25年前に届かない。平均給与があがったといわれても「一体、どこの誰の給料があがっているんだ?」と言いたくもなるでしょう。
推移をみてわかる通り、特に若者たちは、就職氷河期といわれた1990年代後半から2000年代前半にかけてと、リーマンショック後に大きなふたつの減少の大波を受けてしまっています。2014年以降、全体と同様に上昇し始めていますが、90年代から2010年代前半にかけての長い「若者いじめ」が、現在の婚姻数減少と無関係とはいえないでしょう。この期間に、可処分所得があがらなかった世代は、現在の45歳以上の生涯未婚率対象年齢となりつつあるのですから。
平均給与があがっても可処分所得だけが減る理由は、直接税と社会保障費負担の増額です。この25年間に、20代の若者はこうした天引きされる負担が、1996年の約63万円から約102万円へ1.6倍増にもなっています。もちろん、現役世代の負担も同様に増えていますが、若者より低い1.5倍増です。ただでさえ少ない給料の上に、なぜか20代の若者たちが苦しめられ続けてきたという事実があります。
そしてまた政府は増税の話を言い出します。ようやく上昇しかけた可処分所得をまた下げようとしている。勘弁してくれと言いたくもなるでしょう。
お金がなければ生きる意欲すらわかない
当然、結婚は経済問題だけではない。給料が増えれば婚姻数が増えるなどと言うつもりもない。が、お金がなければ、結婚や恋愛どころか、何かしらの行動をしようという意欲すらわかなくなります。若者が若者のうちに結婚できる環境がなければ、それは「晩婚化」ではなく「諦婚化」していくのです。
少子化対策に関連する国の予算は2021年ベースで、6.1兆円ありますが、そのうち5.8兆円が子育て支援に使われています。もちろん、それを削減しろという話ではないですが、少子化対策というわりに、その前提である婚姻増、結婚を希望する若者の実情への寄り添い方が少ないのではないでしょうか。若者の結婚が増えなければ子どもは生まれてきません。
何も減税やバラマキをしろというつもりもありません。が、せめて社会へのスタートを切ったばかりの若者にまた苦労を強いる体制については見直してほしいものです。