※本稿は、和田秀樹『90代になっても輝いている人がやっているトシヨリ手引き』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。
「いい医者」と「悪い医者」の違いはどこにあるのか
多くのおトシヨリはもう、なにかしらの薬を定期的に飲んでいるでしょう。
特別な持病がない人は、血圧の薬やコレステロール値を抑える薬などだと思います。処方されるままに1カ月飲んで、なくなればまた病院へ行きます。看護師さんに呼ばれて診察室に入り、丸いすに座り血圧を測られます。
「調子はどうですか」
「いえ、べつに変わりはないです」
「そうですか。薬が効いていますね」
「それでは、いつものように1カ月出しておきます」
医師はパソコンの画面を見たままで、「お大事に」と言われて診察が終了。こういった医師ばかりではないと思いますが、日本では多くの患者を診なくてはいけません。医師に話しかけようと思っても遠慮してしまった、という人もいるのではないでしょうか。
同じ医師に「ちょっとお腹が重くて……」と言えば、「それでは胃薬も出しましょう」となります。薬の追加です。
詳しく検査してほしいと言えば、「大きな病院の消化器内科で診てもらってください」と、別の病院を紹介されてしまいます。そういうものだと思っている人は、おおぜいいらっしゃると思います。
しかし、これは大きな医療界の問題なのです。
それは日本の医師のほとんどは、自分が学んだことがある臓器の専門家にすぎないということです。ほかの臓器のことになると、言葉は悪いのですが無頓着です。
患者が薬漬けになってしまうワケ
医師が「体にいい薬ですから」という意味は、医師が専門にしている臓器にとっていい薬です、という意味なのです。体全体にとっていいという意味ではありません。
心不全、糖尿病、高血圧、そして高脂血症をもつ私が病院へ行くと、まず高脂血症は内分泌代謝内科に行って薬を3種類出される。高血圧も同じく循環器内科で3種類出される。糖尿病もこれまた3種類出される。これに心不全でも薬を出されたら、あっという間に10種類を超えてしまうわけです。
薬を毎日10種類も飲むというのは、結構なストレスになります。また、複数の薬を併用し、服薬すると、効果が強く出すぎてしまったり、好ましくない症状が出やすくなったりする可能性がありますので、飲み合わせには注意が必要です。