仕事のデキる人は例外なく目的意識が明確

3.「優先順位の高いもの」と「低いもの」を分ける

目的や優先順位を明確にすることも、感情コントロールに必須のロジカル思考です。私の知っている優秀なビジネスパーソンは、例外なく目的意識が明確であり、それによって優先順位を明確にしています。

目的意識が明確であれば、それに向かうためには何をすべきかが、おのずと決まってきます。何が不可欠で、何が必要なものか? 逆に何が無駄なものかが見えてきます。迷いがなくなり、物事がクリアになっていきます。

上司が機嫌が悪かったり、同僚が嫌なことを言ったり、部下がなかなか言うことを聞かなかったり……。仕事をしていると、さまざまな問題が起きてきます。その問題の多くは、じつは仕事の目標達成には直接関係ない問題かもしれません。

たとえば、営業の成果を上げるという目標があったとして、やるべきことは何か? 既存顧客のサポートだったり、新規顧客の開拓が最優先されます。

それに対して部下や上司との日常のちょっとしたことでのトラブル、そこから起こるさまざまな感情のすれ違いなどは、優先順位としては高くないはず。

ならば、それは気にしない。それに時間を取られることは、目標達成の邪魔でしかありません。その割り切り、仕分けを明確にすることが、感情コントロールの大切なポイントになります。

これは逆に言えば、感情コントロールのコツは、つねに目標を明確にしておく、ということでもあります。そしてその目標を達成するために、何が重要で何が重要ではないかをつねに仕分けることだと言えると思います。

上司に嫌われても給料はもらえる

4.不安な事態が起きる確率と起きたときのダメージを判断する

感情には、イライラや怒りとともに、不安や恐れがあります。むしろ一見、怒りと思える感情も、そのじつ、不安や恐れが原因となっている場合もあります。

不安や恐れは生きていく上で大切な感情です。不安や恐れを感じることで、危険を察知したり回避したりできるからです。

ただし、それが過剰になると問題です。集中力がなくなり、仕事が手につかなくなってしまいます。悪化すると、不安神経症のような心の病にまでつながっていきます。

このような過剰な不安や恐れにとらわれないために、どうすればいいでしょうか? まずは、その不安な事態が起きる確率を考えてみることです。

1つの例として、航空機による死亡事故を考えてみましょう。航空機事故は、墜落事故が起きてしまえば乗客の大半が命を落としてしまう大事故になります。

ただし、航空機による死亡事故発生は、東京ニューヨークを12万5000回往復して1回遭う確率でしかありません。と考えると、飛行機に乗ることに対して、過剰に恐れる必要はないということが分かります。

もう1つはリスクが起きたときのダメージがどれくらいかを冷静に判断することです。不安に押し潰されがちな人は、得てしてダメージを過大に想定しがちです。

私自身、上司から注意されたり怒られたり、あるいは機嫌が悪かったりするととても不安になり、動揺し、何とかしなければと焦っていました。

なぜ、私はそれほどまで上司の言動に反応したのか? それは上司から睨まれ、嫌われたら、まともに仕事ができなくなるのではないか? 職場の居場所がなくなるのではないか? という恐れがあったからです。

しかし、よくよく考えてみれば、その上司に嫌われ、疎まれたからといって、職場に居場所がなくなるわけではありません。給料がゼロになるわけでもない。多少嫌われたからといって、すべてを失うわけではないということに気がつきました。

お札を数える
写真=iStock.com/liebre
※写真はイメージです

不安や恐れは誰もが持っている感情です。大事なことは、それをいたずらに膨らませないこと。そのためには冷静にリスクが起こる確率と、起こったときのダメージを想定することです。

すると意外に今恐れていたことが、根拠のない、妄想を恐れていたということが分かると思います。