ビジネスで本質的な問題はどう見つければいいか。元マッキンゼーでエグゼクティブコーチの大嶋祥誉さんは「問題そのものを真の問題と疑似問題に分けて考えるべきだ。『ウサギの角は何本あるか』という問いは、設定や前提が間違っていて疑似問題であり考える意味がない」という――。

※本稿は、大嶋祥誉『マッキンゼーで学んだ最高に効率のいい働き方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

森の上に座って新生児の小さなバニー茶色のウサギの背中
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エネルギーの浪費がなくなる「分解思考」の驚くべき効果

感情の乱れを感情の問題として扱わず、解決可能なロジカルな問題として扱う。これこそが感情コントロールの極意です。そのためにはマッキンゼーなどで学んだフレームワークが有効であり、応用可能であるということです。

先に紹介した問題解決の原則4つの他に、ロジカルシンキングの基本として物事を2つに分けることで思考をクリアにするという分解思考があります。

思考が混乱し、モヤモヤした感情をさらに複雑化させるのは、この分解思考ができていなかったり、不十分であることが多いのです。以下、分解思考の代表例を挙げてみましょう。

1.「自他の問題」を分ける(課題の分離)

本来は相手の問題にもかかわらず、自分の問題として捉えてしまい、エネルギーを浪費してしまう場合があります。

たとえば、ある人のために仕事上でいろいろ骨を折ったとしましょう。自分がこれだけやったのだから、相手はきっと自分を好きになってくれるに違いないと期待しがちです。

ところが意外に相手は感謝してくれない。こちらを好きになってくれる気配もない。「おかしい」「どうして?」と思い悩み、「感謝の気持ちがないやつだ」と怒ったりします。

しかし、よく考えてみると、相手が自分に対してどう思うかは相手の問題なのです。他人の自分に対する印象を完全に自分がコントロールしようというのは無理な話ですし、傲慢だと言うこともできます。

自分は相手のことを思い、相手のためになればと思って行動しただけ。その評価はあくまでも相手が行うことであり、相手の問題なのです。