駅の雑踏の中、「この荷物見ていて」と部下にいいつけて用を足しにいった上司、帰ってきたら荷物がない。「どうしたのか」と部下をなじったら、「知らない人が持っていきました。私はいわれた通り、その様子を一部始終、きちんと見ていました」と悪びれなくいう。上司は口あんぐり……こんな話ほどではないが、まさにいわれたことしかやらないと、部下を嘆く上司は多い。どうすればそれ以上の仕事をしてくれるのだろうか。

コーチ・エイ社のシニアエグゼクティブコーチ、齋藤淳子氏によれば、安心感を抱けない組織にいると、失敗を恐れてチャレンジせず、いわれたことだけを実行する人が多くなる傾向があるという。安心感は、組織を組織たらしめ、人と人とのコミュニケーションを成立させる最も基礎的なインフラだというのである。

(飯田安国=撮影)
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