なぜ「内省」は社員の成長を促すのか

企業人対象のワークショップで、私がよく使うツールがレゴブロックです。若手に対して「自分の今の職場の状態をレゴで表現してください」というお題を出すと、どんな形が出てくるでしょうか。

東京大学大学総合教育研究センター准教授 中原 淳 なかはら・じゅん●東京大学教育学部卒業。大阪大学博士。企業・組織における学習・成長・コミュニケーションについて研究。共著に『企業内人材育成入門』『ダイアローグ 対話する組織』など。

上司が一段高い場所にいて、自分も含めた部下が周りを取り囲んでおり、上司には頭の部分がついているが部下にはないというパターンがまずひとつ出ます。複数の上司に囲まれ、好き勝手を言われている様子を再現する人も多く、また上司に背中を押され、高い場所から突き落とされそうになっている状況を表現する人もいます。言われた通り動けばいいと思っている、複数の上司から気まぐれな指示が飛ぶ、きつい仕事を押しつけるだけでサポートしてくれない……いずれも、若手にとっては悲惨な状態です。