寿命が長い県と短い県の違いは何か。評論家の八幡和郎さんは「長寿日本一の滋賀県を筆頭に、肉やパン、コーヒーなど洋風化した食生活を送っている県は長寿の傾向がある。一方、寿命が短い県は酒類の消費額が多いという共通点が見られる」という――。
滋賀県はなぜ「長寿日本一」になったのか
厚生労働省は5年に一度、都道府県ごとの平均寿命を調査しており、昨年12月に2020年(令和2年)時点の調査結果が公表された。まだ新型コロナの平均寿命への影響はほとんどない時期だ。
都道府県トップは男性が滋賀県、女性が岡山県で、最下位は男女とも青森県である。この結果について、いろいろ論評がされているが、関連する要素は無限にあるから、仮説を立てて検証し絞り込むしかない。
たとえば、男女総合(*1)で1位となった滋賀県は、私の出身県なのだが、なぜ「長寿日本一」になったのか。県当局やマスメディアは「琵琶湖という自然豊かな環境がある」などと取り上げていたが、男性が27位だった半世紀前から事情が変わらない要素を取り上げるのはおかしいだろう。
ここでは、過去との比較、男女差、近隣などの類似県との相関性を考慮しつつ、私なりに分析してみたい。
図表1は、2020年と半世紀前の1965年の男女別の順位である。1965年と言えば、東京五輪の翌年、首相は佐藤栄作、団塊の世代が高校生だった頃だ。公害問題への関心が高まっていた。沖縄はまだ返還されていなかったので、便宜上、1975年の順位を括弧内に入れておいた。
(*1)男女合計の数字は発表されていないので、「男女総合」という場合には、便宜上、両方を足して2で割った数字で論じている。