沖縄県が長寿トップクラスから急落したワケ
一方、半世紀の間に平均寿命の順位が急落したところのひとつが沖縄で、1975年には男性が10位、女性が1位だったのに、2020年はそれぞれ43位と16位である。
その原因として、食事の変化をいう人が多いが、もともと沖縄は米軍の影響でランチョンミートを大量消費するなどしてきたし、外食も多かった。野菜類は本土との交流が深まる中で豊富になっている。本土の人たちの感覚で指摘されることのほとんどは、「変化」の説明になっていない。
ひとついわれるのは、高齢者層でなく若年層の死亡が多いという指摘だ。確かに、県によると、アルコール性肝疾患の死亡率は男女とも全国より高く、男性は全国平均の約2倍という。沖縄特有の飲酒文化で、極端な飲酒をする人が多いことの反映だろう。
また、かつて沖縄の郷土料理は薄味だったが、だいぶ、味付けが濃くなったように思う。このあたりも影響しているのかもしれない。
さらに、新型コロナ禍で露呈した沖縄の医療行政の劣悪さも、間違いなく短命化の原因の一つであろう。
長寿県の自己分析が正しいとは限らない
結語としていくつかの点を指摘すれば、長寿県といわれるところの県当局や地元関係者の要因分析は、他の都道府県や自身の過去とフェアな比較がされているとは限らない。我田引水的なものも多く、必ずしも当たっているとは限らない。
食生活では、和食や粗食が良いということはなく、むしろ、肉などの消費量が多く洋風化が進んでいるところのほうが長寿である傾向すらある。とくに、欧米人は肉の消費量が多すぎるから減らしたほうが良いとしても、それが日本人に当てはまるわけでない。
生活習慣全般でも、食生活でも、過度の飲酒や栄養バランスに欠ける食事、無精な生活態度は、とくに男性において良い結果をもたらさない。
一方で、滋賀や長野、岡山のケースで見たように、医療体制の改善や生活指導は、確実に成果を上げ、しかもそれは長続きするということだろう。