40年の会社勤めを終えてたどり着いた人生のひとつの答え
私がビジネスパーソンとしての現役生活を退いて、5年と少しになります。40年に及んだビジネスキャリアの多くは、外資系の下着メーカー、トリンプ・インターナショナル・ジャパンに籍を置いてのものでした。同社では、14年間、社長の職責を担って、さまざまな社内改革と共に増収増益の経営体質を築き上げました。
現役時代の体験は、数多くのビジネス書にも結実しています。著書で訴えた仕事の流儀や、ワーク・ライフ・バランスの考え方などは、読者から多くの反響をいただき、いまでもすべては受けきれないほど講演の依頼があります。
ちょうど40年前に始まったビジネスマン人生を振り返れば感慨もひとしおですが、実は、私の結婚生活がスタートしたのもそのころなのです。
正確に言えば、数カ月、ビジネスマン人生よりも結婚生活のほうが先にスタートしました。ドイツ留学から帰って、なお1年の大学での学業期間を残していた私は、学生という身分のまま結婚生活をスタートさせたのです。
結婚を決めていた外国人女性のビザを取得するために、籍を入れざるを得なかったからです。その女性が、ドイツ留学で知り合ったフランス人、ダニエル・グラントン。現在の妻です。彼女は、私の帰国と合わせて日本にやってきていたのです。
妻となる女性がフランス人だったのは、たまたまのなりゆきです。偶然が引き寄せた運命だったわけですが、その偶然が、私の人生を大きく変えました。人生観とか生活スタイルといったものだけでなく、ビジネスパーソンとしての仕事観や具体的な仕事の流儀にも少なからぬ影響を及ぼしました。