人生を安定させるために結婚してはいけない
とくに男性に強い傾向ですが、「結婚はビジネスマンとしての人生を安定させるため」「仕事に専心するため」といった従来の結婚観の衣は脱ぎ捨ててほしいと思っています。けっして、仕事のために結婚生活や夫婦関係があるわけではありません。
これは、当たり前のことです。当たり前のことではあるのですが、「旧人類」とも言うべき世代の実態は、「結婚=仕事人生の充実」という考え方に満ち満ちていました。実は、その価値観から抜けきれない人たちが、若い世代にも少なからずいるのです。
そんな古い価値観が、結婚に二の足を踏ませている理由にもなっているように私は思います。当然、少子化の一因にもなっているはずです。のみならず、政治や行政、そして企業の事業活動においても、問題の所在はわかっていながらコトが進まないという、いまの日本をおおう閉塞感にもつながっている気さえするのです。
やはり、結婚はいいものです。多少の波風が立ったり困難がたちはだかることはあっても、それを乗り越えて歩んでいく先には、私たちが生きていることの大きな意味を教えてくれる、ひとつの「答え」があります。
幾多の不安があっても、なお結婚を選択する理由。そして、結婚というフィルターを通して見えてくる人生観や仕事観のありよう。それらのことを、私の体験も踏まえながら、みなさんと一緒に考えることができればと思っています。
男女を問わず、結婚にはまだリアリティを感じられない人や、意識はしていてもいまひとつ踏ん切りがつかない人、そして、すでに結婚している人も含めて、本書が、人生における結婚生活のもつ意味をあらためて考えるきっかけになれば、著者としてこれ以上うれしいことはありません。