せっかく内定を出しても…

理由③ クロージングの技術が求められる

ダイレクトリクルーティングでは、企業と候補者が直接やりとりをします。お互いにマッチしている感触があり、面接がスムーズに進んだ場合も、最後のクロージングで失敗すると内定辞退ということになりかねません。

クロージングとは、採用の内定を出したあと最終的な条件のすりあわせをしつつ、入社意思を確認することです。オファー面談とも呼びます。直接、条件の交渉には高度なクロージング技術が必要になります。候補者は直接言いにくいことがあるからです。

たとえば「いまの給与は700万円で、転職したら750万円を希望している」といったことはエージェントには話せても、採用担当者に対しては「いまの給与は700万円です」としか言わないかもしれません。率直な希望がわからないため、「では、うちでは670万円でお願いしたい」と希望からズレたオファーをしてしまうことがあるのです。

ビジネスマンの手と下向き矢印の付いた日本円
写真=iStock.com/takasuu
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直接やりとりするということは、クロージングにもかなり気を使う必要があることに注意しましょう。

学歴、職歴はざっと確認する程度

人材の定義ができたら、次は採用面接などで見極めることが必要になります。エージェントが紹介してくれた人も、面接をして確認し、決定は慎重におこなうべきです。

それでは、採用面接で見るべきポイントは何でしょうか。

通常、履歴書を提出してもらうと思いますが、学歴や職歴の部分はざっと確認する程度。判断を左右する部分ではありません。それより重視したいのは、どのような経験があるにせよ、その人なりにどう考えてきたかという思考の部分です。

中途採用であれば、これまでやった業務内容をひととおり話してもらいます。それをとっかかりにして、「そのとき、何を考えてどうしたか」を聞きたいのです。

「一番大変だった仕事は何ですか?」
「なぜ大変だったのですか?」
「そこから学んだことは何ですか?」

こういった質問によって、仕事への向かい方、考え方を知ることができます。これが経験やスキル以上に重要です。