採用に失敗する中小企業は、どんなところに問題があるのか。社会保険労務士の福留文治さんと児玉里美さんの共著『採用がうまくいく会社がやっていること』(かんき出版)から、「見直すべき労働環境の6カ条」をお届けする――。

※本稿は、福留文治・児玉里美『採用がうまくいく会社がやっていること』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

就職面接
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応募者が集まる環境を整える6カ条

少子高齢化のほかさまざまな要因により、中小企業の採用はこれからますます厳しくなることは間違いないでしょう。

どんな求人広告をどの媒体に出せばいい採用ができるか、担当者は頭を悩ませているかと思いますが、求人を出す前にまず大事なのが、労働環境を整えることです。

いつの時代でも根本は「働く環境」です。求人方法は、時代の変化とともに、進化していきます。

戦術はその時々で変わりますし、戦術を変えるのは比較的容易です。それがゆえに、戦術の効果は一過性です。戦術も大事ですが、その前に自社を磨く努力をしましょう。できることはいくらでもあります。戦術が変わっても、変わらないものを持っている会社が、採用に強い会社といえるでしょう。

では、具体的に、どのように整えて求人内容に反映していけばよいか、「環境の6カ条(給与、労働時間、休日数、作業環境、アクセス、人間関係)」をご説明したいと思います。

<応募者が集まる環境を整える6カ条>
①【給与】こだわるのは最下限の設定
②【労働時間】残業時間と拘束時間を減らす
③【休日数】メリットが感じられる休日の設定法
④【作業環境】水回りと個人スペースを優先的に整える
⑤【アクセス】会社が気づいていないポイント
⑥【人間関係】仕事を協力して進められる関係性をつくる

給与は「1円でも他社より上回る」が鉄則

①【給与】こだわるのは最下限の設定

給与に関しては、「1円でも他社より上回る」が鉄則です。そのために、必ず同業他社をリサーチしてください。さらにこだわりたいのは、給与の最下限です。

「給与は1円でも他社より上回る」と述べましたが、給与水準は可能であれば同業他社の3%上乗せを目指すとよいです。もちろん、人件費はなるべく抑えたいという気持ちもわかります。給与は一度上げてしまうと下げるのが非常に難しいので、最初は抑え気味にしたいというのがまっとうな考えです。

また、既存の従業員との兼ね合いもあり、求人票にあまり高い給与は記載できない、という現状もあるかと思います。ただ、給与で同業他社より見劣りすると、その時点で応募者のリストから外れます。

仕事は給与で決まるものではありませんが、給与が最低ラインをクリアしていないと、求人市場で非常に不利になります。他社を上回るのが難しいときは、最低でも同業他社と同レベルにしてください。