若手と中堅の転職活動はどこが違うのか。人材コンサルタントの井上和幸さんは「転職に失敗する人ほど、両者を混同している。たとえば多数の企業に応募して、複数の内定を比較検討するというのは、30~50代の転職活動では避けたほうがいい」という――。
いいえのポーズ
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「そのようにするのが当たり前」のウソ

転職活動における採用選考にあたっては、一般的な手順の流れがあります。職務経歴書の提出や複数回の面接などが一例です。ただ、当たり前とみられている段取りや戦略の中には、本質的な意味合いを考えると首をかしげたくなるものも存在します。

転職活動の中で、「そのようにするのが当たり前」と思われていることが多く存在しています。

私はこの業界に身を置くようになり、「それ、逆に事態を悪化させていないか?」ということを折々、感じています。

大勢に影響ないことであれば、人それぞれでよいとも思うのですが、中には、そのせいで転職がうまく行かなくなるような悪癖ともいうべき「危険な常識」があります。

30〜50代の幹部・中核人材がそんな定説にとらわれて陥る3つの罠を紹介します。

①内定獲得のために多くの企業に応募してはいけない

まずひとつ目の「危険な常識」として挙げたいのが、「内定を獲得するために、できるだけ多くの企業に応募したほうがよい」という考え方です。多くの人材エージェントが皆さんに推奨している行為でもあります。

人材紹介会社では業績管理のためにKPI(重要業績評価指標)を設定しているところがほとんどです。そのKPIは「何人(何件)推薦したら採用決定者が出るか」というもの。もちろん人材紹介会社も営業会社ですから、こうした指標を敷いて紹介決定数=紹介料を計画通りに上げたいと考えるのは当たり前のことです。

しかし、これを転職希望者に当てはめて「15件から20件応募すれば1社内定が出ます。最低15件応募してください」とやっているのは、いかがなものかと思われます。