転職活動は決してゲームではない

しっかりと志望先を吟味したうえで、自分のできること・やりたいことと応募先企業のポジションが求めることにご縁の可能性の橋がしっかり架かっていると思えているか否か。それがあるものについて、並行して数社への応募を進めることは必ずしも悪いことではありません。

本来、初動から「ぜひこの会社のこのポジションで次はやってみたいな」と心から思えているなら、平行しての応募先は2~3社内になるのではないでしょうか。

5~6社を同時に進めているとすれば、まだ次の場でどのようなかたちで働きたいかが明確ではない、あるいはそれは明確だが、応募先でそれが実現できると思える状態にまだ至っていない状況でしょう。

私の会社にも、応募先のラインアップを見ると、テーマがばらばら、職種もさまざまという転職希望者がいらっしゃいます。そういう方には、応募の前に、まず今回、転職を通じてどのような方向に進みたいのかを、改めてしっかり確認するようにアドバイスしています。

マネジメントクラスでも10社、20社と応募し、その記録をノートに書き込んでいる人がいます。転職を何かのダービーや資格試験、受験のようなものと勘違いしているようにみえてなりません。

私はこのような動きを見せる人とは距離を置くようにしています。それは、当社が経営層・幹部層に特化しており、そのレイヤーでの職務を担う人の持つべき志向性とは根元が異なるからです。

②内定を得るために、自分を偽ってはいけない

二つ目の「危険な常識」には「受かるために、応募先企業が求めること・評価することに自分を合わせる」を挙げたいと思います。

男と英雄の影
写真=iStock.com/tiero
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「何が悪いの?」と多くの皆さんが思われるかもしれません。私も転職活動をしている人たちから、「この企業には、どのようにしたら受かりますか」とよく聞かれます。

ひとつ目の「危険な定説」で先に述べた通り、応募先企業については企業や当該募集職務についてしっかり研究をして、求められていることを把握することが必須であり、そのポジションに対して自分が貢献できるのかどうかを確認することが欠かせません。

ただ、内定欲しさに、本来、自分が情熱を持てることや得意なことをねじ曲げて、企業が求めていることのほうに寄せていこうとする人もよく見受けられるのです。

これは絶対にやめてほしいと思います。