返済期間を短縮し、残高を早く減らす方法
たとえば、借入額3000万円・返済期間35年で当初の金利が0.375%の場合、毎月の返済額は7万6229円です。しかし、11年目以降、基準金利の2.475%が適用になると、返済額は9万5286円(16年目以降9万8437円)と大幅にアップしてしまいます(※7)。
とはいえ、固定金利よりも変動金利のほうがはるかに低いので、みすみすそれを逃すのは惜しいという気持ちも分かります。同条件で固定金利1.68%のローンを組むと毎月の返済額は9万4523円ですから、7万6229円は魅力的です。
ここで発想を変えて、固定金利を適用したときの返済額と同程度の返済額になるように設定して変動金利ローンを組んではどうでしょうか。返済期間を短縮でき、残高の減少も早くなります。そして、金利がアップしたときに繰上返済をすることで、返済額を同程度に保つことができます。
変動金利0.375%の場合、返済期間を28年にすれば、固定金利ローンとほぼ同額の9万4069円となり、10年後の残高は約1965万円です(図表4)。
11年目から2.475%が適用になると返済額は11万2828円にアップしますが、約315万円を繰上返済すると、返済額は9万4741円とほぼ同程度に保てます。返済期間を35年にすると、返済額7万6229円を保つには約483万円の繰上資金が必要になります(図表5)。
(※7)変動金利は年2回見直されるが、「返済額は5年間変わらない」ルールと、5年経過後の再計算の際に「直前の返済額の125%まで」というルールがある。大幅な金利上昇により返済額では払い切れない未払利息が発生するリスクがある。
金利上昇に対応できない人は固定金利を選ぶべき
他にも、固定期間を10年にして試算するなど、変動金利でローンを組もうとするなら、事前に複数のシミュレーションをして、金利上昇時の対応策を練っておくことをお勧めします。ただし、いくらシミュレーションをしても予想を超えて金利が上がることもありますし、返済期間が長いほどリスクは高まります。
もし、金利上昇に対応しきれないと判断すれば、金利を気にせずに済む固定金利を選びましょう。固定金利ではとても返せない返済額になるというなら、もっと割安な物件を探すか、いったんは購入から撤退する勇気も大事です。
高額の借入金を背負うことになる住宅購入。曖昧な思い込みや期待を排除し、リスク管理の視点で慎重に検討してください。