なぜ育児休業を取得する男性が少ないのか。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「育休中に収入が減ることを懸念する声が多いが、経済的な支援制度があるので積極的に利用すべきだ。育休をどう取得するかは長期のマネープランに影響するので、夫婦でしっかりと話し合ってほしい」という――。

男性の育休取得率は女性の6分の1

男性がもっと柔軟に育児休業を取得できるよう、2022年10月から「出生時育児休業制度(産後パパ育休)」と「育児休業の分割取得」がスタートしました。背景には、男性の育休取得率が女性と比べて低水準にとどまっている現状があります。

男性が育休を取りにくい原因には、お金や夫婦の役割分担、日本の働き方の問題があるようですが、実は子育て世代の家計をサポートする「育児休業給付金」や「社会保険料の免除」といった制度があります。要件がやや複雑ですので、今回はそのサポートの仕組みを中心に詳しく解説していきます。

まず、現状はどうなっているのかをデータで確認しましょう。

今年7月に公表された「令和3年度雇用均等基本調査」によると、女性の育児休業取得者(※1)の割合は85.1%、男性が13.97%でした。育児休業を取得する男性が増えているとはいえ、政府が掲げる「2025年までに男性の育休取得率30%」という目標には程遠いのが現状です(図表1)。

育児休業期間(※2)でみると、女性は「12カ月~18カ月未満」が34.0%と最も高く、次いで「10カ月~12カ月未満」が30.0%、男性は2週間未満が5割超を占めています(図表2)。

【図表2】男女別育児休業取得期間(2021年度)
厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」より筆者作成

※1 令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性(男性の場合は配偶者が出産した男性)のうち、令和3年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申し出をしている者を含む)の割合
※2 令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間に育児休業を終了後復職した者

1歳以降も夫婦が交代で育休を取得できる

10月1日からスタートした産後パパ育休とは、妻が産休中の男性を念頭においたもので、子の出生後8週間以内に4週間(28日)を限度に取得でき、2回までの分割取得が可能となりました(※3)

通常、育児休業は1カ月前に申し出る必要がありますが、産後パパ育休は、原則として、休業の2週間前までとなっています。また、産後パパ育休とは別に、時期・事由を問わず、分割して2回まで取得することが可能になりました。