コロナは入院給付金の対象外になるかもしれない
今年に入り、新型コロナ感染症による入院給付金の請求が急増しています。中には、感染していることを告知せずに契約したり、濃厚接触者になった後に契約したりするなど、不正請求が疑われるケースも増えているようです。
入院給付金とは、病気やけがで入院した場合に受け取れるお金のことで、「医療法に定める病院や診療所に入院し、医師の管理下で治療に専念する状態」にあることが支払いの要件です。新型コロナ感染症の拡大に伴って、本来であれば入院すべき患者が自宅やホテル等で療養するケースが相次いだことから、保険会社はこのような「みなし入院」も、療養を証明する書類などを提出すれば入院給付金の支払対象としてきました。
しかし、政府の感染者全数把握方針の見直しを契機に、支払対象を高齢者や妊婦、重症化リスクの高い人などに縮小する動きが加速しています。医療保険等に加入している人は、自分の契約がどのような条件になっているかを確認しておきましょう。
保険会社が「払えない」「払ってはいけない」ケース
生命保険や医療保険は保険金・給付金等を支払う条件(支払事由)を約款で定めています。約款とは、契約者と保険会社の間で締結する保険契約に関して、お互いの権利、義務、条件などを記載した文書のことです。たとえ長年保険料を払い続けていても、支払事由に該当しなければ給付を受けることはできません。
また、告知義務違反など、ルールを逸脱する行為があれば、契約自体が解除になることもあります。そうなると、保険金等が受け取れないだけでなく、それまでに支払った保険料も戻ってきません(解約返戻金があれば返金される)。
実は、新型コロナ感染症の不正請求に限らず、請求したにもかかわらず、保険金や給付金を受け取れないケースは、毎年一定数発生しています。保険会社が支払いを渋るという話ではなく、「払えない」あるいは「払ってはいけない」ケースです。