あなたは地元自治体の財政状況をご存じだろうか。行財政アナリストの磯道真さんは「自治体財政状況ランキング(2022年版)」を作成した。今回は、全国にある1741自治体のうち、「金持ち自治体」の市区編トップ200をお届けする――。(第1回/全4回)
ランキング上位には東京23区がずらり
あなたは住んでいる自治体の財政状況をご存じだろうか。
債務(借金)が多ければ、将来の返済負担が重く、いずれ行政サービスに支障を来しかねないことを意味する。
逆に借金より金融資産の方が多く実質無借金なら、余裕を持った行政運営ができる。多額の金融資産を保有していれば、新たな住民サービスを始めたり施設を建設したりすることも容易だ。
最も裕福な自治体はどこか――。市区では東京都心部の区が上位に名を連ねる一方、意外な市がお金をため込んでいることも判明した。
「実質債務がマイナス」は裕福な自治体の証し
地方自治体の財政状態を表す指標はいろいろある。
税収に代表される自主財源の割合を示す財政力指数、義務的な経費を安定収入でどの程度賄えているかがわかる経常収支比率、債務の返済負担をみる実質公債費比率など。
ただ、官庁会計の歳入は税収と地方債のような借金が一緒になっており、歳出も人件費のような純粋な経費と資産が残る投資的経費が区別されていない。そもそも、国や自治体は収支が均衡するように予算を組む。フロー(収支)で豊かさを評価するのは難しい。
そのため、今回は債務水準に焦点を当て、2021年度末の住民1人当たり実質債務を算出し、ランキングしてみた。
1人当たりの債務つまり借金が多ければ、将来の返済負担が重く、いずれ行政サービスに支障を来しかねないことを意味する。逆に借金より金融資産の方が多く実質無借金なら、余裕を持った行政運営ができる。多額の金融資産を保有していれば、新たな住民サービスを始めたり施設を建設したりすることも容易だ。
実質債務がマイナスということは、現金や基金などの金融資産が借金を上回っており実質無借金を意味する。