日本マクドナルドHDは、直近の通期決算で1店舗当たりの平均月商が約1800万円となり、上場以来最高となった。外食業界で「一人勝ち」と評される好調の要因はどこにあるのか。日経ビジネスの鷲尾龍一記者の著書『外食を救うのは誰か』(日経BP)より紹介する――。
マクドナルドのファーストフード店
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コロナ禍で「一人勝ち」したマクドナルド

コロナ禍で勝ち組となったファストフード。メニュー点数を抑え、店舗に届く前に食材をなるべく加工し、店舗では専門的な厨房機器を使って注文から3分前後で提供する。徹底的な「工業化」により、来店客の回転率の向上と、人件費の抑制を両立してきた業態だ。

細かく見ると、ファストフードの中でも優勝劣敗がある。日本フードサービス協会の調査によれば、2021年の「洋風ファストフード」の売上高は19年比116.2%だった。「持ち帰り米飯・回転ずし」は同99.1%、牛丼など「和風ファストフード」は同95.2%。いずれも他の業態に比べれば好調と言えるが、洋風ファストフードが頭一つ抜けた格好だった。その代表格がハンバーガー。中でも「一人勝ち」と評されるのが日本マクドナルドホールディングス(HD)だ。

店舗当たりの平均月商は上場以来最高を更新

日本マクドナルドHDの21年12月期通期の全店売上高は前期比10.7%増の6520億円、最終利益は同18.6%増の239億円だった。1店舗当たりの平均月商は約1800万円と、上場以来最高となった。22年に入ってからも好調をキープしており、既存店売上高は22年4~6月期まで27四半期連続でプラスを続けている。

好調の要因は、テークアウトやデリバリー、ドライブスルーなど店内飲食(イートイン)以外の利便性の高さを消費者に示したことだった。マクドナルドに限らず、洋風ファストフードは商品をカウンター越しで提供するケースが多い。店内飲食と店外飲食で店舗側のオペレーションはほとんど変わらないため、対応しやすい。