ひさしぶりの来日を楽しみにしていたのに…

今秋、私は約2年半ぶりに来日したという中国人男性と都内で会った。以前日本に住んでいたことがあるというその人は、来日前「久々の日本。おいしい日本料理や日本式のすばらしいおもてなしを体験できると思ってワクワクしている」と話していた。しかし、実際に各地で出くわした日本のサービスはその人の期待を裏切るものばかりだったという。いったい何があったのか。

日本語も堪能なその中国人は、私に向かって開口一番、「日本のサービスの低下に幻滅した」と明かした。特定を避けるため詳細を明かすことはできないが、日本人の私でも驚くようなエピソードがたくさんあった。

その中国人は再び東京に住むことを検討しており、ある日、某高級家具店を訪れたという。

中古家具店
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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「下見のつもりで訪れました。日本人担当者が1人つき、一緒に50万円以上のテーブルやソファなどの家具を見て歩きましたが、私は今日(購入を)決める予定ではない、ということを、あらかじめ伝えておきました。しばらく見て歩いたあと、気に入った家具がありましたが、部屋のサイズなどを正確に測ってこなかったし、やはり、今日はこのまま帰ると伝えました。すると、担当者は商品の10%の予約金を支払えば、一定期間、家具をキープできますよといい、予約を勧めました」

中国人を驚かせた店員の一言

そこまでであれば、よくあることだろう。だが、その中国人が改めて丁寧に断ると、それまでにこやかだった担当者の表情は一変、自分が接客した時間を無駄にされたと思ったのか、ノルマが果たせなかったことを残念に思ったのか、今後、お得意さまになるかもしれないその中国人顧客に向かって、開き直ったような態度で、こう言ったという。

「私、あなたのボランティアじゃないから」

その言葉を聞いた瞬間、中国人はショックのあまり、わが耳を疑い、二の句が継げなくなった。「これは本当に私が知っている、あのすばらしい日本のサービス、日本のおもてなしなのだろうか?」と思い、しばらくの間呆然としてしまったという。

自分が何か悪いことでもしたのだろうか、と意気消沈したが、別の日、外資系の家具店にも行った。その際も同じように「下見」であることを最初に伝えてから店内を見て回ったが、その家具店の日本人担当者の対応はまったく異なるものだった。買わないで帰ろうとする中国人に対して、最後まで笑顔できちんと接客してくれたという。しかも、翌日すぐに、渡した名刺のメールアドレスに来店のお礼メールが届き、フォローも忘れなかった。

その中国人は言う。