人材を育てる人材が枯渇しているのではないか
今年10月、日本では水際対策が緩和され、訪日観光客の3割を占める中国人を除き、徐々に外国人観光客が戻ってきている。日本の有名観光地や旅館などに泊まり、日本式サービスを楽しみにしている外国人も多いだろう。
コロナ禍で3年近く来日できなかったことから、彼らの期待値は以前よりも大きく膨らんでいると思うが、観光地では大量の人員をカットした結果、いい人材が現場に残らない、とにかく人手が足りない、という深刻な問題があちこちで発生している。現場に残っているのは、その場しのぎの対応でやり過ごすアルバイト人員ばかりだ。
むろん、アルバイトでも、きちんと教育をすれば問題ないし、プロ意識を持つアルバイトもいるが、その教育を担当する人材が、日本では枯渇してきているのではないかという危惧を覚える。中国人観光客が日本に戻ってくるまでにはまだ時間がかかると思うが、この日本通の中国人の個人的な体験談を聞きながら、私は、コロナ後の日本経済を支える屋台骨の一つである観光業の先行きは大丈夫だろうか、という不安にかられた。