どこに行っても高水準で安心できたのに…

「これはあくまでも私の個人的体験に過ぎませんが、他にも今回、都内のさまざまなお店に行ってみて感じたことは、以前よりも日本のサービスの質が落ちている、対応する店員の個人差が大きくなっている、ということでした。これまで、私が知っている日本式サービスは、マニュアル教育が徹底されていて、どこに行っても均一で、どの人が対応しても同じくらい高水準で安心できる、すばらしいものでした。

それが日本の強みであり、日本おもてなしのクオリティー、質の高さだと思っていたのですが、それが少しずつ変わってきているのでは……と感じました。自分がたまたまいい店員に出会えば、いいサービスを受けられるけれど、運悪く、そうではない店員に会ってしまったら、嫌な気分にさせられます。

ホテルでも疑問に思うことがありました。私は都内のあるホテルに1カ月以上泊まっていたのですが、そのホテルにはフィリピン人、ロシア人、中国人などの外国人スタッフもいました。日によって担当は交替しますが、私が感じたところでは、日本人スタッフより外国人スタッフのほうが、総じて愛想がよかったのです。これは1カ月住んでみての率直な感想です……」

日替わりランチやおすすめメニューがわからない

この中国人の体験は高級家具店やホテルでの話だが、私や私の日本人の友人も実際に経験したことのあるような日常的な出来事に、その中国人も遭遇したという。どこにでもある普通のレストランでの「日替わりランチ」をめぐる対応だ。

「あるレストランに1人で入ったときのこと。日替わりランチがあったので、店員に『今日の日替わりは何ですか?』と聞いたところ、『少々お待ちください』といって奥のほうに引っ込んでしまい、なかなか戻ってこない……。開店直後ならまだ覚えていなかったのかなと、少しだけ理解することもできますが、開店後、しばらくたってからなのに、今日の日替わりメニューすら覚えていないなんて、と驚きました。

夜にちょっと高級なレストランに行ったときにも『こちらのお店のおススメのワインは何ですか?』と聞いたけれど、店員は答えられない。たまたまその日、接客に当たった人は、お店のことを熟知していないアルバイトだったのかな。1カ月以上、都内で数多くの飲食店に足を運びましたが、このように疑問に思うことが何度もありました。これは私の思い過ごしだったのでしょうか。治安とサービスがいい日本だから移住する気でいましたが、今は悩んでいます」