イーロン・マスクが公言したTwitter社の倒産リスク

イーロン・マスク氏が買収したTwitterは、どこへ向かおうとしているのか。皆に愛され自由なつぶやきが飛び交っていた一大プラットフォームは、急速にその優位性を失いつつある。

ノルウェーのスタヴァンゲルで開催されたOffshore Northern Seas(ONS)会議のディスカッションフォーラムに出席したイーロン・マスク氏=2022年8月29日
写真=EPA/時事通信フォト
ノルウェーのスタヴァンゲルで開催されたOffshore Northern Seas(ONS)会議のディスカッションフォーラムに出席したイーロン・マスク氏=2022年8月29日

二転三転した買収劇を経て、マスク氏の新体制下で新たな飛翔ひしょうを試みている青い鳥。しかし、万年赤字という体質からの巣離れを試みる取り組みに対し、古くからのユーザーはもとより従業員や広告主らまでもが新体制に疑問の目を向けるようになった。

マスク氏は収益の確保を急ぐべく、買収の完了後、早々に従業員の締め付けに着手した。ほぼ予告のない大規模なレイオフ、週80時間労働の推奨、従順でないエンジニアの解雇、そしてリモートワークの廃止に福利厚生の一部撤廃など、10月末の買収完了からわずか1カ月ほどで社内に激震が走る。

従業員を奮起させたいマスク氏は、ついには倒産の可能性を匂わせるレターを従業員宛に送付した。これをきっかけに米メディアは、Twitter倒産のリスクについて活発に議論するようになっている。

こうしたなか、そもそも同社の財務状況の悪化は、むしろマスク氏自身の突飛な買収騒動によって引き起こされたのではないかとの議論が現地では噴出している。さらに興味深いことに、むしろ倒産はマスク氏にとって好都合だと指摘する専門家も現れた。

2006年のサービス開始以来、とりとめのないジョークから政治論までを交わせる自由なプラットフォームとして愛されてきたTwitter。唐突に登場した新オーナー・マスク氏の采配次第では、倒産も現実的なシナリオのひとつとなりかねない。

従業員、広告主のツイッター離れが止まらない

マスク氏のねらいは、収益体質への急速な転換だ。氏はこれまでにもスペースXの打ち上げ失敗やテスラの生産問題などを通じ、倒産の瀬戸際を歩んできた。米ニュース専門局のCNBCは2021年11月、マスク氏がスペースXの従業員に送ったレターを入手している。