年末商戦を前に3000件超の倒産ラッシュ

最近、わたしたちの雇用・所得環境の先行きに黄色信号をともすデータが出ている。ここへきて、企業の倒産件数が増加し始めている。東京商工リサーチによると2022年4~9月期、全国の企業倒産件数は3141件だった。これまで、緩和的な金融環境などに支えられて倒産件数は抑えられてきた。しかし、国内で事業を運営する企業を取り巻く環境の厳しさは増し始めている。

シャッターを下ろした店舗(=2022年6月13日、東京都新宿区)
写真=時事通信フォト
シャッターを下ろした店舗(=2022年6月13日、東京都新宿区)

今後、国内企業はより厳しい事業環境を迎えるだろう。年初来、世界経済は米国の底堅い個人消費に支えられてきた。しかし、ここにきて状況は徐々に変わり始めている。米国の個人消費の勢いは弱まり始めた。年末商戦を控える中、それは、世界経済にとって大きなマイナスだ。

今後、米国ではインフレ鎮静化のために、連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを強化しなければならない。金利は上昇する可能性が高い。それによって、個人消費はさらに落ち込むだろう。そうした動きが鮮明になるにつれて、わが国の企業倒産件数は増加する展開が予想される。

リーマンショック以降、倒産件数は減少傾向だったが…

年初来、わが国の企業倒産件数は増えている。9月は599件の倒産が発生した。前年同月比で18.61%の増加だ。徐々に、倒産件数増加の勢いは強まっているように見える。年度の上半期(4~9月)でみると企業倒産件数は3年ぶりの増加に転じた。近年、わが国の企業倒産件数が低位に抑えられてきたことを考えると、状況は弱い方向に変化していると考えられる。

リーマンショック以降の各年度上半期の企業倒産件数は、多少の増減を伴いつつも、傾向としては減少してきた。東京商工リサーチが定期的に公表している半期ごとの全国企業倒産状況を見るとそれがよく分かる。

2008年度、09年度の上半期の倒産件数は、リーマンショック発生による世界経済の成長率の低下の影響などによって7800件前後だった。2010年度以降は倒産件数が減少した。2015年度の上半期以降は4000件台前半で倒産件数が推移した。2015年度上半期の倒産件数は4388件、2019年度上半期は4256件だった。