免疫力という言葉を見たらあやしいと思え

しいていえば、免疫力とは「病気が治る」という意味です。

つまり、「どんな病気も治す魔法の力」というとうそくさいので、医学に基づいているふりをするために「免疫力」というもっともらしい言葉に言い換えているのです。

魔法の鍋を作る魔女
写真=iStock.com/inhauscreative
「どんな病気も治す魔法の力」はない(※写真はイメージです)

この話はわたしが2016年にネットに書いた(注1)ころに知れ渡っていったようで(べつにわたしが広めたと自慢するつもりはなく、ただの偶然の一致だと思いますが)、最近は情報発信に熱心な医師が「免疫力という言葉を見たらあやしいと思え」という立場をとる例も出てきました。ふたつほど例を挙げておきましょう。

注1 https://medley.life/news/5808ad9b13e3742c008b458f/

「『免疫力』というのは自分の一番嫌いな言葉です。(……)『免疫力』という言葉は、ある意味で『トンデモ』な文脈で使われることが、すごく多いんですよね。」(峰宗太郎+山中浩之『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』)
「そもそも『免疫力』という言葉を、専門家はあまり使いません。(……)感染症の分野でも、『がん』の分野でも、『免疫力をアップする方法』といったタイトルの書籍や言説は、それだけで『一発レッド』です。」(近藤誠『こわいほどよくわかる 新型コロナとワクチンのひみつ』)

でたらめがバレたら次のまやかしが流行るだけだと思いますが、古いまやかしがまだ多いうちは、知っておいて役に立つこともあるでしょう。

とはいえ、もっと確実で役に立つ知識は、「健康情報を見たらあやしいと思え」です。