「免疫力を上げるサプリ」に本当に効果はあるのか。医師の大脇幸志郎さんは「免疫のしくみは複雑であり、医学的に見れば『免疫力』というものは存在しない。健康情報の多くはデタラメで、気にしないほうがいい」という――。
※本稿は、大脇幸志郎『運動・減塩はいますぐやめるに限る!』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
「免疫力」は実在しない
「免疫力」という言葉がありますね。
わたしにはこの言葉の意味がよくわからないのですが、なぜかあちこちの広告に登場します。
そして、この食品を食べれば、このサプリメントを飲めば、この体操をすれば、こんなことやあんなことをすれば、免疫力が高まるのだと、競い合っています。
免疫力というのは意味不明な言葉です。免疫のしくみは信じられないほど複雑ですから、全体をひとつの「免疫力」という言葉で要約することなどできません。
免疫力とは何かと考えること自体がワナです。
「桃太郎が入っていた桃はなんという種類の桃か」というのと同じ、意味のない疑問です。桃太郎も桃太郎の桃も実在しないのですから。
同じように、免疫力というものは実在しませんから、免疫力について考えてもムダです。
免疫力という言葉を使う人が、免疫学の深い知識にもとづいて、明確に何かを指示しようとしているとはとても思えません。
免疫力が登場する場面はてんでバラバラで、そこに共通点を見つけるほうが難しいくらいです。みんな口からでまかせにいっているだけです。