「お薬だけ受診」をなくして医療費節約

③リフィル処方箋

リフィル処方箋とは、一定期間内に反復使用できる処方箋のことです。医師が決めた期間内で3回までであれば、同じ処方箋を使って医師の診療なしで繰り返し薬を受け取れる仕組みです。ただし、投薬量に限度が定められている薬(新薬や麻薬、向精神薬)や湿布薬は対象外です。利用できるのは、生活習慣病を含む慢性疾患で長期的に病態が安定しているケースです。

薬剤師とカプセル・錠剤
写真=iStock.com/MJ_Prototype
※写真はイメージです

患者としては、「いつものお薬」のために医療機関に出向かなくてもよくなりますし、医療費の節約にもなります。たとえば、糖尿病で月1回クリニックに受診し、「再診料73点」「外来管理加算52点」「生活習慣病管理料720点」が算定されている場合、3割負担で2535円の支払いになります(※6)。施設基準を満たせば、これに時間外対応加算や明細書発行体制加算などが加算されたり、受診した時間帯によっては更なる加算がつくこともあります。

リフィル処方箋で受診を3カ月に1回にできれば、年間3万420円から1万140円と2万円以上の節約になります。ただし、メリットばかりではありません。経過観察の機会が減るので症状の変化に気付きにくくなり、健康被害につながる可能性などが懸念されています。あくまでも医師が患者を診察して、リフィル処方が可能と判断した場合に限られます。

一方、調剤を担当する薬剤師は次回の調剤予定日を確認し、予定される時期に患者が来局しない場合は、電話などで状況を確認しなくてはなりません。また、リフィル処方箋による調剤が不適切と判断した場合には調剤を行わず、受診勧奨をするとともに、処方医にすみやかに情報提供する役割を担います。リフィル処方箋の普及には、安心して任せられる薬剤師の存在が不可欠です。

現役世代にとって、たとえ月1回であっても通院の時間が取れず、治療の継続が難しくなることもあります。リフィル処方箋で通院回数を減らし、その間は薬剤師に服薬状況や状態の変化、副作用の発現などを丁寧にチェックしてもらい、途絶えることなく医療とつながることが重要です。オンライン服薬指導と組み合わせることにより、就労と治療の両立可能性はさらに高まるのではないでしょうか。

(※6)(73点+52点+720点)×10円×3割=2535円