病院にかかる負担を減らす4つの制度
ここまで負担増につながる制度改正について解説してきましたが、暗い話だけではありません。忙しい現役世代にとってはありがたい、経済的にも時間的にも負担を減らせる改正があります。
1つ目がオンライン診療の恒久化、2つ目が、処方薬の飲み方指導から受け取りまでオンラインで完結できるようになったこと、3つ目が、一定期間内であれば繰り返し使用できるリフィル処方箋が創設されたことです。もう一つ、改正ではありませんが、2021年12月31日までの期間限定だったメディケーション税制が5年間延長されています。
①オンライン診療の恒久化
「かかりつけ医を持て」といわれても、仕事や家事育児の合間を縫っての通院はなかなかしんどいものです。新型コロナ感染症拡大によってリモートワークが広がったのと同様、医療の世界でもオンライン診療が身近になっています。
新型コロナ以前、保険で認められるオンライン診療には厳しいルールが課せられていました。しかし、感染拡大の収束が見通せず、必要に迫られる形で時限的措置としてルールを緩和してきました。さまざまな議論を経て、2022年4月には、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って行うことを前提に、恒久化されるに至りました。
初診の場合、対面だと288点(1点10円、3割負担で864円)のところ、オンラインだと251点(同753円)とわずかながら安くなっています。ただし、オンラインで得られる情報は限られますので、医師がオンラインでは無理と判断すれば、対面診療に切り替えるケースも出てきます。利便性だけでなく、リスクも踏まえて適切に利用することが求められますが、かかりつけ医を持つことのハードルは下がるのではないでしょうか。
②服薬指導のオンライン化
もともとは「特定の疾患」「再診」のみで可能だったオンライン服薬指導が、オンライン診療と同様、時限的措置を経て恒久的に「すべての疾患」「初診・再診」でのオンライン対応が可能となりました。医療機関を受診する際、オンライン服薬指導を希望する旨と、利用する薬局名(○○薬局△△店)を医師に伝える必要があります。
この規制緩和により、薬剤師による処方薬の説明をオンラインで受ける(服薬指導)ことができ、説明後は自宅などに薬を配送してもらえるようになりました。もし、医療機関での受診をオンラインで行うことができれば、診療から薬の受け取りまですべてオンラインで完結できることになります。