医者にかからずに医療費控除を受けられる
④セルフメディケーション税制
入院や手術などで医療費負担が重くなったとき、確定申告をすることで医療費控除が受けられることはよく知られています。ただ、1年間にかかった医療費のうち、10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%の金額)を超えた部分が控除対象であること、高額療養費の還付金や、生命保険の入院給付金などを差し引いた後の金額が対象となることから、利用の機会はあまり多くないかもしれません。
一方、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)であれば、ドラッグストアなどで購入した所定の医薬品が年間1万2000円を超えた場合、超えた金額(上限8万8000円)がその年の総所得金額等から控除できます。医療費控除同様、本人だけでなく生計を一にする配偶者や家族の分も合算できますので、ハードルはぐっと下がります。
セルフメディケーションとは、WHOの定義によれば「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」ことです。そのため、申告の対象となる年に、予防接種や健康診断、がん検診などを受けている人を制度の対象にしています。
控除が受けられる商品は、パッケージに「セルフメディケーション・税・控除対象」と表示されていたり(表示のないものもある)、レシートに対象商品であることが印字されています。厚生労働省のサイト(※7)でも確認できます。ただし、従来の医療費控除との併用はできませんので注意をしてください。
医療は、私たちが支払う税金や保険料で支えられる社会共通の財産です。医療提供体制がどう変化しているのかを理解することで、上手に医療にかかるコツが見えてきます。それが、将来に向けて医療制度を持続可能なものにすることにつながります。
(※7)厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」