また10代の尊い命が失われた
新潟県の北越高校における部活動遠征中、交通事故によって未来ある高校生の尊い命が失われました。この悲報に接し、強い憤りを感じずにはいられません。それは、この事故が単なる「不慮の不幸」ではなく、防ぐことができたはずの背景をはらんでいるからです。
今年3月、沖縄・辺野古での修学旅行中に起きたボート転覆事故という重大インシデントから、わずか2カ月。教訓を活かす間もなく繰り返された今回の死亡事故は、日本の学校教育における危機管理体制の甘さや、組織の深部に潜む「ガバナンスの機能不全」という深刻な病理を浮き彫りにしました。
現在、事故の直接的な経緯については警察による捜査が進められています、本稿は5月11日時点の報道をベースに、私たちが直視すべき、学校教育における「危機管理の機能不全」という深刻な事態について述べたいと思います。
報道によれば、今回手配された車両がいわゆる「白バス行為(運転手付きレンタカー)」であった疑いが持たれています。仮に学校側がこれを認識していた場合、これは単なる運転手の過失では済まされない、極めて重大な責任問題と言わざるを得ません。
運転手のミスだけで済まされない重大責任
事故の直接的な原因は運転手の操作ミスである可能性が高いとされていますが、危機管理における鉄則は、「事故は必ず起こる」という前提に立つことです。科学的に不可能な「ゼロリスク」を盲信するのではなく、事故の発生確率を下げる対策と、万が一発生した際の被害を最小化する備えの両輪を整えること。これこそが管理者の責務です。
したがって、事故原因そのものについては警察の捜査を待つ他はなく、運転手個人の病歴などを探るのは危機対応において本質的ではありません。今最も問われるべきは「手配のプロセス」です。
報道によれば、学校側は「バス会社に移送を依頼した」と主張する一方、バス会社側は「レンタカーを紹介したに過ぎない」と回答しており、主張は真っ向から対立しています。
しかし、5月9日付の朝日新聞は「バス運行会社の担当者を通じた高校名義のレンタカー契約が、過去1年間で複数の部活で少なくとも9件あった」と報じています(営業担当者以外の名前を運転者としてバスやワゴンなどを借りていたケースでは18件)。さらにテレビ朝日の報道では、学校側が「バスの手配にあたって見積もりや契約書を交わしてこなかったこと」を認めたとされています。
ソフトテニス部顧問は会見において、「レンタカーを頼んだ覚えはない」と語っていますが、“言った言わない”の議論ほど不毛なものはありません。もし適切な「貸切バス事業」としての正式な依頼であれば、そこには運行指示書や契約書が存在するはずなので、それを提示すれば済む話だからです。

