ノートを「人生の索引」にする
なぜ、すべてのことをノート1冊にまとめるのか。その理由は簡単で、探すことに費やす時間を省くためです。すべての記録を1冊に集約しておけば、過去に記した情報を参照したいときも、その1冊をパラパラとめくるだけで解決します。
「ここになければ、どこにも記録していない」とわかっているので、「どこに書いたっけ?」などと、あちこち探す必要はありません。手間も時間もかけず、極めて効率的に求める情報へとたどり着くことができます。私の場合、これまでの経験則から、コクヨの100枚(200ページ)ノートを年6冊のペースで使っています。
コクヨの100枚ノートは、厚さ約1.1センチです。つまり1年間で約6.6センチなので、50年間でもおよそ3.3メートルの棚を確保すればすべて保存できます。
私にとってノートは、すべての記録を収めた「人生の索引」です。先述したように、私はノートを索引にするため、「今日1日、何をしたか」「誰と会って何を話したか」「どこへ行ったか」など、その日にあったことを簡単に記しています。
これは独学するうえで、非常に有効です。試しに「今日学んだこと」を、ノートに書き出してみてください。おそらく、無駄なことに時間を費やしていたり、非効率的に時間を使っていたりといった今後の改善点が見つかると思います。
1日を振り返る行為が、独学の効率アップにつながるわけです。こうした意識的な「振り返り」をしないと、独学の時間効率はなかなか上がりません。どんな無駄があるか、どこを改善できるかは、可視化することで見えてくるものなのです。
記憶を呼び起こすトリガーを作る
独学法でおろそかになりがちな要素が「記憶力」です。
現代の学生や若いビジネスパーソンを見ていると、かつてと比べて明らかに記憶する能力が落ちています。理由は明白で、「覚える努力をせず、すべて外部化で済まそうとしている」からです。
そうした点から見ても、エバーノートやドロップボックスのようなデジタルツールの使い方には注意が必要です。安易な使い方をすると、情報整理どころか、「情報のゴミ箱」になってしまいます。
最もやってはいけないのが、情報を取捨選択することなく、すべてクラウドに入れてしまうことです。クラウド化する際の鉄則は、「目を通していないものは保存しない」こと。
目を通していない情報は、保存したところで呼び出すことができません。この点でも、ノートには大きなメリットがあります。
デジタルは手軽で上限がないからこそ、後で使うかどうかわからないものまで「念のため」に保存してしまいますが、ノートに手書きするのは手間がかかるので、記される情報は自ずと選別され、「学びの記録」が「記憶のトリガー」になりやすいのです。