知識を増やすにはどうすればいいのか。元外交官で作家の佐藤優さんは「紙のノートに記録、学習、仕事のすべてを集約して書くのがいい。デジタルツールに情報を放り込むというやり方はおすすめできない」という――。
※本稿は、佐藤優ほか『独学の教室』(インターナショナル新書)の一部を再編集したものです。
教養を身につけるために必要なのは読解力
教養を身につけるために必要なものとは何か。それをひと言で表すと「読解力」です。読解力を養うには、数学や論理学のような「非言語的論理」と、文章を読み解く「言語的論理」の二つを鍛える必要があります。
中学・高校までの学習も、煎じ詰めれば読解力の核となる「非言語的論理」と「言語的論理」の力を蓄えるものと言っても差し支えありません。
現代のビジネスパーソンは、そうした読解力を独学で身につける必要があります。
博覧強記の佐藤優を支える「ノート術」
独学といっても、ただ漠然と本やテキストを読んでいるだけでは、知識は身につきません。知識を定着させるためには、内容に応じて「書く」作業が必要になります。
数学であれば、実際に手を動かして練習問題を解く。語学であれば、ディクテーション(読み上げられる外国語をそのまま書き取る勉強法)を繰り返す。人文科学や社会科学の本を読む場合は、重要箇所をノートに抜き書きし、自分のコメントを付記しておく。
どんな学びであっても、書くことが知識定着への近道なのです。ただし、「読書専用ノート」や「抜き書き専用ノート」をあえて作る必要などありません。
私自身、ノートは1冊に集約し、読んだ本の抜き書きやコメントに加え、語学の練習問題の解答から仕事のスケジュール、簡単な日記(何を食べたか、誰と会ったか)まで、すべて時系列で記すようにしています。後で読み返せるようにできるだけ分厚いノート1冊に、「記録」「学習」「仕事」のすべてを集約するのです。