※本稿は、安斎響市『転職する勇気 「強み」がない人のための転職活動攻略マニュアル』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
以下は、新卒4年目で転職を考える田中君(26)と、AIアドバイザー「転職デビル」の会話の一コマである。
職務経歴書の書き始め方
「応募する求人の選び方は、なんとなく分かった気がするんだけどさ」
「何だい、またネガティブ田中かい?」
「もういいよ、それは。問題はさ、職務経歴書だよ」
「何が問題なんだい?」
「転職デビルはさ、僕の自己PRスキルの低さを完全に見くびっているんだよ。僕の職務経歴書はひどいよ?」
「変なところで威張るなよ、ネガティブだなぁ、もう。どれどれ、見せてごらんよ」
そう言われて、僕は作成途中の職務経歴書のPDFファイルを、スマホアプリにアップロードした。
「判定! ジャカジャカジャカジャカジャカ……デデン! 0点! なんだこれは?」
「だから、ひどいって言ったじゃないか」
「ひどいも何もさ、1行も書いてないじゃないか。真っ白だ」
「書いてるだろ? 氏名と連絡先」
「おいおい、ネガティブ田中。これは職務経歴書じゃなくて、『氏名と連絡先』だろ。そりゃ0点が出るよ」
「しょーがないじゃないか! 何を書いていいか、さっぱり分からないんだから! 僕だって書こうとしたよ、したんだけど、全然言葉が出てこないんだよ、ずーーーっと白紙とにらめっこだよ」
「ひどい、なかなかにひどい……」
「いいよ。笑えばいいさ、僕のことを。どうせ僕には無理なんだ、転職なんて」
職務経歴書は「最初の5行」に魂を込める
「あのねぇ田中君、せっかく応募企業選びのことをいろいろ教えてあげたのに、全然ポジティブになれてないじゃないか」
「ポジティブになんてなれないよ。職務経歴書が白紙なんだから。これじゃ、応募企業が見つかったって応募できないし」
「仕方ない、教えてあげよう、この転職デビルが。職務経歴書はね、最初の5行だ。冒頭5行に魂を込めるんだ」
「悪魔が『魂』って言葉を言うと、なんだか気持ち悪いな。魂を抜き取られそう」
「くだらないことを言ってるんじゃないよ。いいかい? 一番上の『概要』の5行だ。そこでほとんど書類選考の通過は決まる」