※本稿は、安斎響市『転職する勇気 「強み」がない人のための転職活動攻略マニュアル』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
以下は、新卒4年目で転職を考える田中君(26)と、AIアドバイザー「転職デビル」の会話の一コマである。
新卒入社から3年は辞めないほうがいい
「何か、他に質問はあるかい?」
「転職するなら、やっぱり早いほうがいいのかな? 僕はもう、今の仕事は嫌になっちゃって一刻も早く辞めたいんだけど、良い転職先が見つからないなら数年は粘ったほうがいいのかも……とも思って、悶々としているんだ」
「一般的に言えば、転職のタイミングは早すぎないほうがいいね」
「早すぎるって?」
「具体的に言うと、新卒入社から3年はなるべく辞めないほうがいい」
「なんで?」
「例えば、新卒入社1年目で辞めるとするでしょ。全然見つからないよ、次の仕事。実際に探してみれば分かるけど。どこに行っても“仕事が続かない人”認定されて、企業から完全に避けられる。田中君が気にしてる『強み』がない以前に、『弱み』がありすぎて絶望的なんだ」
「何となく、それくらいは僕でも分かるよ。強みとか何とか以前に、短期離職の経歴が大きな減点要素になっちゃうって話だよね」
外部からは「会社がヤバいのかその人がヤバいのか」がわからない
「そうそう。その会社で何があったにせよ、入社1年目で仕事を辞める人は評価されづらいってこと。もちろん、世の中にはいろんな会社があるからさ、とんでもないブラック企業に入っちゃって辞めるしかないって人も現実的にいると思うよ。でもさ、その会社がどのくらいブラックかは外からは分からないからね。
企業の面接官からすると、その会社がヤバいのか、辞めた人がヤバいのかは判断がつかない。だから、とりあえずそういう人は雇わないほうが無難っていう結論になる。仕方がないよね」
「でも、いったいなんで3年なの? 『石の上にも三年』ってこと?」
「違う。私は転職デビル。悪魔だぞ? 『石の上にも三年』なんて、そんなくだらない老害みたいな話を信じてると思うかい? そうじゃなくて、もっと現実的な話さ」