職務経歴書の資格や賞罰の欄にはどのようなことを書けばいいのか。転職ライターの安斎響市さんは「職務経歴書は書類作成能力を見るテストでもある。書き方や言葉遣いだけではなく、情報を絞ることにも気を付けたほうがいい」という――。

※本稿は、安斎響市『転職する勇気 「強み」がない人のための転職活動攻略マニュアル』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

日本語履歴書の免許・資格セクション
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以下は、新卒4年目で転職を考える田中君(26)と、AIアドバイザー「転職デビル」の会話の一コマである。

経歴書の添削を転職エージェントに頼ってはいけない

「職務経歴書ってさぁ、転職エージェントに添削してもらうこともできるんだよね?」

「できるか・できないかの二択で言えば、できるよ」

「なんだか嫌な言い方だなぁ。どういうことなの?」

「転職エージェントのサービス紹介文などには、よく『職務経歴書の添削』と書いてある。でも、実際には、そんなに丁寧に添削してくれるエージェント担当者はほぼいないんじゃないかな」

「なにそれ、ウソつきだな」

「ウソとは言い切れないよ。絶対にやらないというわけではないし、一応、求職者一人ひとりの職務経歴書を企業に送る前にチェックはしているわけだし」

「転職エージェントにお願いしたら、イイ感じに高評価をもらえる書類にパパっと仕上げてくれるんじゃないの?」

「そんな都合の良い話があるわけないよ。もう、田中君は楽をすることばかり考えるんだから」

「えー、転職エージェントは業界のプロなんだから、書類添削くらいしてくれてもいいじゃないか。ケチだなぁ」

「そこが問題なの。エージェントは別に人材業界のプロでも、転職活動のプロでもないよ。田中君は営業職だけど、自分のことを営業のプロだと思っているかい?」

「営業のプロ? そんなわけないだろ、この僕が」

「それと一緒だよ。その業界で働いているというだけで、知識豊富で経験やスキルがあるとは限らないだろ? 転職エージェントに頼るべきは、書類の添削とかそういう部分ではないんだよ」

エージェントしか知らない「企業側の視点」を盛り込む

「他の部分なら頼りになるってこと?」

「例えば、さっきから言っている『視点』の話。田中君の仕事の経験は、あくまで田中君の中にあるものだから、エージェントに代わりに書いてもらってもなかなか良いクオリティにはならないし、エージェントが作った職務経歴書で書類選考を通過しても、面接で深掘りされたらボロボロになってしまう」

「たしかにそうだよね」

「でも、田中君の職務経歴書に企業側の視点を取り入れる作業をエージェントに手伝ってもらうのは、かなり有効だと思うよ」