メジャーリーグの球団と契約する日本人選手が次々と発表されている。ライターの広尾晃さんは「メジャーでは日本人野手の評価は厳しい。それは海を渡ったとたん長打率が落ちる『小型化』という壁を乗り越えられないからだ」という――。
「お荷物」の評価を下されたメジャー日本人野手
MLBのストーブリーグが後半に差し掛かっている。そこで、レッドソックスの吉田正尚の名前が度々話題に上がっている。
NPB屈指の安打製造機にしてクラッチヒッターの吉田は、2023年の第5回WBCでの「ベストナイン」を手土産に、ポスティングシステムを利用して、オリックスからレッドソックスに移籍した。以後2年間の打撃成績は図表1の通りだ。
2023年
140試合537打数155安打15本塁打72打点、打率.289
2024年
108試合378打数106安打10本塁打56打点、打率.280
23年は新人ながらアメリカン・リーグ6位の打率.289をマーク。新人王投票でも6位になった。24年は故障もあって規定打席には達しなかったが、それでも二桁本塁打、打率.280をマーク。
日本の野球ファン的に言えば「抜群ではないけどよくやっている」と評したいところだが、吉田はレッドソックスのチーム編成上で「お荷物」になりつつある。
1年目は左翼を87試合守ったのだが、守備範囲が狭い上に肩も強いとは言えなかった。
吉田はNPB時代から外野守備は得意とは言えず、日本シリーズなどでも判断の悪さから走者に失点を許すケースがしばしば見られた。
2年目は「外野手としては使えない」と判断され、外野は1試合守っただけ。シーズンの大部分をDH(指名打者)として出場した。
しかしDH専従の打者としては、吉田の成績は物足りない。打率はともかく、もっと長打を打ってほしい、という評価になっている。