いまテレビ各局がいちばん恐れていること
タレントの中居正広氏が、自身の有料会員サイトでついに芸能界引退を発表した。発表直後からSNSで「中居引退」がトレンドとなり、驚きをもって受け止められた。
しかし、驚いているテレビ局幹部はたぶんいないだろう。遅かれ早かれこうなることが予想されていたからだ。それより各局が驚き、恐れ慄いているのは、フジテレビからスポンサーが離れ、多くのCMがACジャパンに差し替わっていることだ。中居氏の女性トラブルをめぐる問題がフジテレビを直撃していること、それが自局に飛び火することを最も警戒している。
これまでどんなスキャンダルが起きても、こんな一大事にはならなかった。タレントがひとり消えるか、あるいは番組が終了するか。それで解決するものだと誰もが思っていただろう。しかしそう甘くなかった。
フジテレビはこのままいけば、多くのスポンサーを失い、収益の大きな部分が吹き飛ぶ。それだけではない。直接的な当事者ではないフジテレビの系列局まで大きな損害を被ることになる可能性が高い。読売新聞の報道によると、実際に、関西テレビ(大阪市)のスポンサーは30数社がCMの差し替えなどを希望しているという。九州の系列局でも差し替えの動きが起きているようだ。
「こんなことが万が一にも自局に飛び火してはならない」と各局の経営者は思っただろう。各局が「自局の調査」を表明するまでのスピードは驚くほど早かったのはその証左だと言える。
先手を打ったキー局
TBSは20日に、アナウンサーを含む社員を対象に、TBSのコンプライアンス部門が弁護士の助言を得ながら「TBSグループの人権方針にのっとり、実態を把握するための社内調査を始めている」と発表。
日本テレビは21日に「会食などにおける不適切な性的接触がなかったか」を、外部の専門家を入れて制作現場などの社員を対象にヒアリングを行うと発表。
テレビ東京は22日に「社内および番組関係者や取引先等との間で不適切な行為があったかどうか」などについて外部の専門家の協力を得て社内調査を開始するとした。
なんとテレビ朝日に至っては「年明けから出演者やその関係者と社員との関係性に問題がないか」その実態を把握する第一次調査として対面ヒアリングを制作現場やアナウンス部を中心に行い、終了したと22日に発表した。その結果「食事会等での不適切な行為の報告はありませんでした」という結論を得たようだ。
これは各局とも「うちは問題がありませんでした」とすぐにでも表明してスポンサー離れを食い止めなければならないからだ。