プーチン大統領が、習近平国家主席と「制限なきパートナーシップ」を宣言してから4年が経過した。ロシアは今、その「盟友」中国の自動車に隠れ関税を課し、市場から締め出しにかかっている。しかし中国は無反応を保っている。海外メディアは、中ロ関係の冷え切った実態を報じている――。
北京で中国の習近平国家主席兼共産党総書記と会談するロシアのプーチン大統領
北京で中国の習近平国家主席兼共産党総書記と会談するロシアのプーチン大統領(写真=ロシア大統領府/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

ロシアと中国の蜜月に異変

ロシア自動車メーカーが苦境に立たされている。

中国勢に押されて販売不振に陥ったことで、一部企業は週4労働に移行。救済策としてプーチン政権は、中国をターゲットにした事実上の関税の導入に踏み切ったほか、タクシーを国産に限定する国内産業の保護策を打ち出した。

「盟友」の中国すら標的にするなりふり構わぬ政策は、プーチン政権が追い詰められている様子をまざまざと物語る。さらには、施策を受けて新車価格が高騰。ロシア国民の生活を直撃している。

導入された制度は、名目上はあくまで「廃車処理」とされている。だが、米独立系調査機関のロジウム・グループは2024年12月の分析で、これを事実上の「隠れ関税」だと指摘している。

ロシアは2012年のWTO加盟時にこの制度を導入し、国内調達基準を満たすメーカーには払い戻しを認めている。実質的に負担を強いられるのは輸入車だけだ。シェア急伸の中国車を狙い撃ちにした。

2024年10月、ロシアはエンジン排気量に応じてこの料金を一気に70〜85%引き上げた。2030年まで毎年10〜20%ずつ上乗せし続ける方針も打ち出している。

2025年1月以降、中国メーカーには15%の輸入関税に加え、排気量1〜2リットルの車両1台あたり7000ドル[約110万円(5月6日現在のレート、1ドル156.5円で換算、以下同)]超、大型車では約2万ドル(約313万円)ものスクラップ税が課される。

中国・奇瑞(チェリー)の人気車種「ティゴ7プロ」は車両価格2万7780ドル(約435万円)だがスクラップ税だけでその4分の1を超える計算だ。

振り返れば2022年2月、ウクライナ侵攻のわずか数日前。ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は「制限なきパートナーシップ」を高らかに宣言した。侵攻後に西側の制裁が実施された後も、中ロ間の揺るぎない信頼関係は、プーチン政権の拠り所となってきた。

EUは2024年10月、中国政府の補助金で安価になった中国製BEV(電気自動車)への不当な競争を是正するため、最大35.3%の相殺関税を課した。スクラップ税はそれを上回る水準だ。

中国車のシェアが急拡大している背景

ロシアがこれほどの関税障壁を築く背景には、中国車が市場を席巻している現状がある。

侵攻前の2021年、乗用車が年間150万台も売れるロシアは世界有数の市場だった。国内生産の約7割を海外ブランドが占めており、モスクワの富裕層たちがメルセデスを好んで購入する一方、ロシア東部の地方でもトヨタや韓国車が人気だった。

侵攻後、制裁と世論の圧力に押された海外メーカーは、相次いでロシアから撤退。収益性の高かった拠点を二束三文で手放した。

取り残されたロシアメーカーは、まるで時代に逆行するかのように、エアバッグやABSすら省いた簡素な車両を相次いで量産し始めた。だが、需要は鈍い。こうして生じた消費者のニーズとのギャップを埋めるようにして、中国勢がなだれ込んだ。

ロジウム・グループによると、中国勢はシェアを2021年の9%から2023年には61%へ伸ばした。わずか2年で約6.8倍の急伸だ。売上高ベースで見ればさらに衝撃は大きく、中国ブランドが販売額の90%を占めていると、ロシア最大手アフトワズ自身が認めている。

勢いに乗り、中国・長城汽車(グレート・ウォール・モーター)のロシア工場は稼働率123%を記録し、拡張を計画するほどだった。