復活した「闇タクシー」

こうした影響から、タクシー料金は高騰。ロシアの国民生活を直撃している。

2025年の配車料金は全国平均でも前年比22%増で、人気路線では最大70%高騰した。全国で13万人超の運転手が足りない。

規制に適応できない運転手たちは、ついにグレーな運行手段に活路を見出し始めた。

モスクワ・タイムズによると、通信アプリ「テレグラム」上では数十のグループを通じて、乗客と運転手が直接乗車交渉をしている。配車サービスアプリとは異なり、プラットフォーム手数料を徴収されることがない。運転手の収益も高まるほか、客が支払う料金も公式サービスより30〜50%安い。

こうしたチャットグループを日常的に使うモスクワ在住の女性は、「メッセージを送り、運転手と値段を交渉し、現金で払う。アプリも監視もサージフィー(追加料金)もない。スマホを使って手配する以外は、90年代にボンビラ(非合法タクシー)を拾っていた頃とまったく同じ」と語る。

規制を重ねた結果、ロシアのタクシー事情は、むしろ30年前に逆戻りし始めた。

国営企業が「月3日の無給休暇」を奨励

当局が中国車を実質的に規制するのは、肝心の国内メーカーの足元が危ういためだ。

モスクワ・タイムズによると、ロシア最大の自動車メーカーであるアフトワズは、生産目標を50万台から約30万台へ引き下げ、さらには労働日数を削減して週4日労働制に移行した。高金利で自動車ローンの負担が膨らんだことで消費者のニーズが減退し、在庫が膨れ上がったためだ。

輸出にも活路は見えない。同紙によると、アフトワズの主力ブランドであるラーダの海外販売台数は2021年の約3万5800台から2024年には約2万1000台と、わずか3年間で4割以上も縮小した。

アフトワズが製造した「ラーダ・カリーナ」に試乗するプーチン大統領
アフトワズが製造した「ラーダ・カリーナ」に試乗するプーチン大統領(写真=ロシア連邦政府/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

カザフスタンに至っては9359台からわずか1085台への激減だ。お膝元の旧ソ連圏(CIS)市場ですら、中国車や西側ブランドに取って代わられている。

保護されるはずのカマズ自身も揺らいでいる。従業員約3万人の同社は昨年8月、週4日勤務へ移行したとロイターは伝える。小型商用車大手のGAZも同じく、昨年8月から週4日勤務に移行した。

こうした雇用調整に踏み切ったのは、自動車産業だけではない。ロイターによると、非軍事部門は2025年初めから5.4%収縮し、GDP成長率は0.7〜1.0%程度まで鈍化する見通しだ。

賃金の未払いも前年同期比で約3.3倍に膨れ上がっている。約70万人の従業員を擁するロシア鉄道までが、本社職員を対象に、通常の休日・非労働日とは別に月3日間の追加無給休暇を取得するよう求めている有様だ。