金価格は再び上昇へ1500ドル超も

金価格は長期上昇トレンドに突入
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金価格は長期上昇トレンドに突入

2008年3月に史上最高値をつけて以降、調整局面入りしている金価格だが、これは一時的なものと見ていい。金投資に吹いているフォローの風がやんだわけではないからだ。

第一に米ドルへの不安がいぜん高まったままだ。金は、商品としての側面に加えて通貨の代替としての性格がある。このため、基軸通貨としてのドルの信任が低下すると、その裏返しとしてより安全な通貨として金への関心が高まるのは、必然の流れだ。

第二に、世界的な低金利の長期化が予想されることだ。金は利息のつかない投資商品のため、高金利時代は魅力が相対的に薄れるが、現在のような低金利下では逆に魅力が高まりやすい。

また、中国や欧州で個人向けに純金積み立てを導入するともいわれている。これらを総合すれば、金の国際価格は5年以内に1500~2000ドル近くになっている可能性もある。目先は900ドルを割り込んでいるが、ここはむしろ絶好の買い時といえるだろう。

金へ投資する方法はいくつかある。現物を持つなら「延べ棒(地金)」か「コイン(金貨)」「純金積み立て」となる。地金は、1キログラム~5グラム程度まであるが、500グラム未満は「バーチャージ」という手数料がかかる。100グラムの場合は4200円程度だ。投資コストを考えれば500グラム以上のものを買うほうがいいが、500グラムだと約150万円の資金が必要で、やや敷居が高い。

より小口投資なら金貨となる。10分の1オンス金貨なら2万円以下で購入可能だ。金貨の場合も、加工のための鋳造コストが購入価格に上乗せされるが、売却する際も鋳造コストを上乗せした価格で買い取ってもらえるため、トータルでの損はない。

また、金の売却益は「譲渡所得」として課税されるが、年間50万円までは非課税。500グラム以上の地金を持っている場合、売却益が非課税枠を超える可能性もある。税金を考えると金貨がお勧めだ。

積立貯蓄感覚の「純金積み立て」もある。月額3000円程度から始められ、積み立て購入するため、ドルコスト平均法が働き、取得単価を下げるメリットもある。所定の金額まで貯まったら、金貨や地金、ジュエリーとの交換もできる。唯一のデメリットはコスト。積立額すべてで金を買うわけではないため、どうしても効率が悪くなる。

むしろ金価格の上昇でダイレクトに儲けたいなら、金ETFだ。金現物の場合は、その日に決まった価格が取引価格になるが、金ETFは上場商品なので、市場が開いている間は時価で売買できる。税金も株式と同様の扱いなので、特定口座に入れておけば証券会社が源泉してくれるため、納税の手間もない。購入単位も1万円程度なので、かなり手軽だ。

現在、金ETFとしては東証に上場する「SPDRゴールド・シェア」と大証の「金価格連動型上場投資信託」がある。どちらがお勧めかというと前者だ。後者は金価格に連動する債券に投資するのに対し、前者は投資家が投資した資金で実際に金を購入するため、信頼性が高い。

注意が必要なのは金の国際価格が上昇しても為替が円高に振れると、円での手取り収益は相殺されることだ。実際、金価格が上昇しているときはドル安円高の傾向が強い。その意味で、金投資はあくまで資産の一部にとどめ、他のリスク資産のヘッジ目的と考えたほうがいいだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=平原 悟)