袋の裏には「原産国:アラブ首長国連邦」

ハンター社の黒トリュフポテチを実食してみる。厚めにカットしたじゃがいもを釜で手揚げしているため、食感は「サクサク」というより「ザクザク」。トリュフの芳醇な香りと塩気がかなり強い。国内メーカーのトリュフ系チップスが比較的「甘み」や「丸み」を意識したマイルド仕様なのに対し、こちらは酒のつまみとして十分成立するほど濃厚だ。ワインが欲しくなる。好き嫌いはあるだろうが、筆者はかなりハマった。

袋の裏を見ると、原産国名の欄には「アラブ首長国連邦」とある。お菓子の原産国としてはあまり目にしない国名だ。

なぜアラブ首長国連邦のポテトチップスが日本に輸入され、しかも大ヒット商品になっているのか。

出合いはドバイの食品総合見本市

前提として、成城石井は海外食材を輸入する商社機能を持った東京ヨーロッパ貿易という子会社を持っており、海外の製品や原材料は同社を通じて自社で直接輸入している。中間マージンが省けるだけでなく、最適な輸送ルートを自ら選べるからだ。成城石井では自社のバイヤーが、自らの目と舌でそれらの“おいしさ”を見極めた上で商品を買い付けているが、直接現地に赴くことも多い。

「スナック菓子は成城石井で安定して売れているカテゴリーです。元々オリジナル商品のラインナップを増やしたいと考えていたところ、バイヤーのひとりがドバイの食品総合見本市で黒トリュフフレーバーのポテトチップスに出合いました。ハンターフーズ社が見本市にブースを出展していたんです」。商品との出合いを、成城石井の八尋佐和子氏(商品本部 商品部 菓子課 課長代理)はこう説明する。

ハンターフーズ社はドバイに本拠を置くスナック会社で、創業は1985年。黒トリュフポテチを擁する「HUNTER'S GOURMET(ハンターズ・グルメ)」シリーズ以外にも複数のスナックラインナップがあり、現地のスーパーには多くの同社商品が並ぶ。ホームページによれば、同国内の主要な小売業者に流通ネットワークを持ち、エミレーツ航空やスターバックス、高級ホテルなどとも取引がある。