ハンターフーズ社にとって成城石井は世界一の輸出相手
黒トリュフポテチのブレーク後、成城石井では同じハンターフーズ社の「グルメシリーズ」である「クアトロフォルマッジ」「シーソルト&ビネガー」(10月ごろ終売予定)「サワークリーム&オニオン」「バーベキュー」「バジルパルメザン」の各フレーバーを輸入して市場投入した。さらに今年8月26日には、「キャビア」「黒トリュフ&パルメザン」「白トリュフ&ポルチーニ」も加わった。
実はこのうち「クアトロフォルマッジ」と「キャビア」は、成城石井とハンターフーズ社が共同開発したフレーバーだ。しかし、ドバイの大手スナックメーカー(ホームページによれば「46カ国以上に製品を販売」している)が極東のいちスーパマーケットチェーンの求めに応じて商品開発するとは、どういうことなのか。
「実は、ハンターフーズ社のポテトチップスを去年(2021年)世界一たくさん輸入販売しているのは成城石井なんです。そうした実績もあり、共同開発に至りました」(同)
ハンターフーズ社にとって成城石井は世界最大の大口顧客だったのだ。
日本は世界一のポテトチップス王国
日本人はポテトチップスが大好きだ。2021年の国内スナック菓子出荷実績3035億円のうち、1097億円をポテトチップスが占める。ほかのじゃがいも系スナックであるシューストリングポテト(じゃがいもを細長く切って揚げたもの。「じゃがりこ」など)や成型ポテト(乾燥したじゃがいもをフレーク状態にして固めて揚げたもの。「プリングルズ」など)を足すと2000億円を超える。これは小麦系スナック(391億円)やコーン系スナック(448億円)をはるかに凌駕する数字だ(以上、日本スナック・シリアルフーズ協会「スナック菓子の出荷実績の推移」より)。
このことは、スーパーやコンビニのスナック菓子棚でもっとも良い場所を確保しているのがポテトチップスであることからも明らかだろう。
ただ海外に目を向ければ、これは当たり前の光景ではない。欧米やアジア各国では必ずしもポテトチップスが“スナック菓子の王様”ではないからだ。アメリカではコーン系チップスが強く、アジア各国では豆原料のチップスも多い。
また、これは複数の国内ポテトチップスメーカーが認めるところだが、フレーバーのバリエーションや次々と市場投入される新製品の数、製法の創意工夫や品質に関して、日本のポテトチップスは間違いなく世界一といっていい。日本は紛れもなくポテトチップス王国である。その地位を、高い商品開発力のみならず、迅速な商品供給体制や価格競争力によっても支えているのが、カルビーや湖池屋をはじめとした国内ポテチメーカーというわけだ。