韓国でスター俳優となるためには、厳しい条件がある。作家の康熙奉さんは「180センチ以上の身長、低くて重い声、それに大学の演劇・映像専門学科を卒業という3つの条件を備えていなければ、ほとんど成功の可能性はない」という――。

※本稿は、康熙奉『韓国ドラマ! 愛と知性の10大男優』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

アニメ版「冬のソナタ」の完成披露会見で、手を振る韓国の俳優ペ・ヨンジュン(左)と笑顔を見せる女優のチェ・ジウ(右)=2009年9月29日、東京
写真=AFP/時事通信フォト
アニメ版「冬のソナタ」の完成披露会見で、手を振る韓国の俳優ペ・ヨンジュン(左)と笑顔を見せる女優のチェ・ジウ(右)=2009年9月29日、東京

なぜ韓国の俳優たちは180センチ超えばかりなのか

韓国の芸能界において、スターはどのようにして誕生してくるのか。

最初に取り上げたのが身長である。

たとえば、人気男優を自分なりに10人ピックアップしたと仮定すると、間違いなく、その10人の平均身長は180センチを超えているはずだ。選び方によっては、185センチ近くになる場合もあるかもしれない。

一流のアスリートでなくても、これだけ背が高い。

その理由は明らかだ。

スターになったときに、たまたま背が高かったわけではない。もともと、背が高いという特徴を持った人が、スターが立てる舞台に上がっていける、と考えたほうがいい。つまり、「高身長」が先なのだ。

究極的に言えば、歌が上手な人や演技が巧みな人は、韓国では数えきれないほど潜在的にいる。

しかし、それだけでは足りない。さらに、身体的な持ち味がある人がその先の選抜ルートに入っていける、というわけだ。

だからこそ、スターは背が高い人たちばかりなのである。もっとわかりやすく言えば、高い身長はスターへの必須条件になっている。それに見合った男性たちが韓国ドラマの男性主人公を彩っている。

求められる「低くて重い声」

とはいえ、高い身長だけでは足りない。もう一つ重要なのが声だ。

韓国のテレビを見ていると、男性アナウンサーの声質はほとんどが低くて重い。それが、韓国で受け入れられる「望ましい声質」なのだ。堂々たるイメージをかもしだすためには、声は低くてよく響かなければならない。

その鉄則を多くのスター俳優たちも受け継いでいる。彼らは特別な訓練を経て「低くて響く声」を獲得している。そのために、発声を磨いている。

生まれ持った素質だけで彼らが今の地位を得られているわけではない。「素質+訓練+努力」が今の彼らを際立たせているのだ。