1987年は韓国にとって象徴的な年

次に、生まれた年を見てみよう。

今のスター男優を見ていると、1987年生まれや1988年生まれが多い。

特に「1987年」という年に注目したい。

この年は韓国現代史で特別に重要な年になっている。それは、韓国社会を重く苦しく縛っていた軍事政権が終わった年を示している。

なぜそれが終わったかというと、韓国全土を巻き込んで激しいデモが吹き荒れた「民主化抗争」が勝利したからである。

それによって、韓国は完全に民主化されるようになった。ここで重要なのは、民主化の勝利によって言論・表現の自由が保障されて韓国は後のエンタメ大国への道を歩み始めた、ということだ。

そういう意味で、1987年生まれは「民主化の申し子」とも呼べる。

そんな彼らが今や韓国ドラマの華々しい主役になっている。本当に象徴的な現象だと言うことができる。

俳優として成功するために必要な「学歴」

韓国の俳優たちの略歴を見ていると、多くの共通点を見つけることができる。大学の演劇・映像専門学科を卒業している俳優が圧倒的に多いのだ。

これは韓国で俳優として成功するための方法論を如実に物語っている。とはいえ、俳優という職業の場合、特別に学歴が必要なわけではない。それでも、韓国では学歴を重視する伝統が社会に根づいていて、その風潮がはっきりと俳優の世界にも及んでいる。

そのことは、現実を直視すると、事情がよく見えてくる。なにしろ、演劇・映像・放送に関する専門学部(あるいは学科)を設置する大学が40校ほどあるのだ。この数は、人口5000万人の国としては驚くほど多い。それだけ、芸能分野も学術的に体系化されている。

その中に自分自身を組み込まなくては、俳優になることも難しい。したがって、俳優になりたければ、まずは大学受験をめざすのである。

今は芸能専門の学部は非常に人気があって、特に名門となると難関校となっている。それでも、無事に難関を突破できれば大学で中身の濃い専門指導が受けられる。

そして、俳優を数多く輩出する名門大学としてよく知られるのは、東国大学、中央大学、漢陽大学、檀国大学、ソウル芸術大学の5つ。すべて私立である。

この中でいくつかの大学の講義の内容を見てみよう。