転職しても生活の苦しさは変わらなかった

ある時、どうせ仕事は大変なのだからと、給料アップを目指して同業種に2度転職をするも、半年も経たずに退職。貯金を切り崩す生活になり、結局貯金はゼロに。毎日毎日お金のことを気にして、お金のことで頭がいっぱいになりました。そんな20代前半を私は過ごしました。

私がこの経験から学んだのは、仕事はもちろん、お金の知識やスキルを適切に身につけないと、結局は同じ失敗を繰り返すだけになってしまうということです。

毎回同じことの繰り返しで、働いて、お金を使って、退職をして、お金がまったく貯まりません。つまり、仕事とお金に振り回される人生になってしまうのです。お金がなくて疲労困憊だった私は、ウキウキした気分で朝を迎えることができません。毎日が憂鬱ゆううつでした。完全に意気消沈。仮病を使ったりサボったりする日もありました。だから、よく自己啓発書やビジネス書を読み、自分を奮い立たせようと試みるのですが、「心から好きなことをしなさい」とか「頑張らないで生きなさい」とか、逆に「死ぬほど頑張れ」とか、いろんな言葉に触れたけど、当時の私にはほとんど響きません。

好きなことはしたいけど、生活することが最優先だし。頑張らなかったら、お金がなくなって、より生活が苦しくなってしまう。今も必死に働いているのに、これ以上頑張ったらもっとしんどい……。そんな心境だったのです。

「いったい、僕はどうしたらいいんだ!」と毎日のように思えど、その答えは見つからないままだったのです。だから、この先もしばらく苦しむことになります。若いうちは好きなことをなかなか仕事にできないし、貧乏も経験するし、死にそうなくらい働かないといけないし、その反動でまったく働かない時期もあるし、お金はなかなか貯まらないし、何かを変えるだけの余裕もない。もしかしたら、人生はそういうものなのかもしれません……。

頭を抱えて階段に座り込む男性
写真=iStock.com/tuaindeed
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行き詰まったら、まず「減らす」

あなたも今、あれこれ学んで考えても答えが見つからず、身動きが取れなくなって悩んでいませんか?

私がただ1つだけ、あの頃の自分にアドバイスをするとしたら、「何を始めるにしても、まず最初に“減らすこと”を考えて」と伝えます。

多くの人が身動きが取れないのは、多くを抱えすぎているからです。あなたはさらに、新しいことを付け加えようとしていませんか? だから、キャパオーバーで何もできなくなるのです。何かを減らさなければ、あなたには動き出せるだけの体力や気力、発想力も残っていません。だから、何かを減らすことを考えましょう。減らすことで、余裕が出てくるのです。

たとえお金に余裕がなくても、時間や心に余裕が出てくれば、何かを変えようと思えるはずです。人生を変えられる人間がいるとすれば、それは余裕のある人間です。もっと言えば、何かを手放せる人間だと私は思います。仕事でも、家事でも、人間関係でも、無駄遣いでも、モノでも、行動習慣でも構いません。「余裕」を生み出すために、何かしらを手放しましょう。何を始めるにしても、一番最初に「減らすこと」からスタートするのです。