TBSのスポーツバラエティ番組「SASUKE」が、五輪競技である近代五種の候補に選ばれた。テレビ業界ジャーナリストの長谷川朋子さんは「『SASUKE』は世界的な人気のあるコンテンツで、IOCが目を付けるのも納得できる。また、ほかの参加者を蹴落とすのではなく、純粋にコースの完全制覇を目指すというコンセプトは、時代を先取りするものだった」という――。
そり立つ壁をモチーフにしたヨーロッパ版のセット
写真提供=UIPM World Pentathlon/Augustas Didžgalvis
そり立つ壁をモチーフにしたヨーロッパ版のセット

五輪競技候補に挙がった「SASUKE」

TBSの「SASUKE」が五輪競技候補として発表されたのは6月27日・28日にトルコの首都・アンカラで行われた近代五種ワールドカップ・ファイナル後のテスト大会直前だった。国際近代五種連合が今年5月に2024年のパリ五輪後から近代五種の1つである「馬術」を外し、新たな競技として「障害物レース」を試験導入する方針を固めたことから、その障害物レースとして「SASUKE」が候補に挙がったのだ。

最初のテスト大会であるトルコの地ではフランスやポーランドなど、ヨーロッパ現地版収録で使われている番組セットが実際に使われ、一気に五輪競技化が現実味を帯びた。

テスト大会で使用されたヨーロッパ版の番組セット
写真提供=UIPM World Pentathlon/Augustas Didžgalvis
テスト大会で使用されたヨーロッパ版の番組セット

今後、アンカラ大会を含めて複数回行われるテストを経て、今年12月に開催されるIOC理事会で正式競技として採択されれば、2028年ロス五輪から「SASUKE」がオリンピック競技となる。

明るい知らせであることは間違いないが、同時になぜ「SASUKE」なのかという素朴な疑問が生まれる。「SASUKE」が五輪競技候補に挙がったのは、大きく分けて3つの理由が考えられる。1つ目の理由としては、160以上の国と地域で放送されている大ヒット番組として、これまで地道に積み上げてきた世界的な人気が挙げられる。